IPOで思い出されるのは1997年10月16日に店頭公開(現JASDAQ)されたジャストシステムである。同年9月19日発売の一太郎オフィス8の効果で、98年3月の売上高396億円(前年比+27%)、経常利益30億円(同4倍以上)を目指していたが、初値2,500円と増資価格を下回って始まった。調達した75億円のうち52億円は新本社建設資金の返済に充てる予定だった。また、日本経済新聞11月20日にはその年の中間決算は9.43億円の経常黒字、98年3月期予想でも30.6億円(売上高365億円)の見通しだった。
しかし、わずか2か月後の翌年1月23日の日経3面には同社の経常損失43.5億円の見通しとの記事が踊った。売上が240億円と前年を23%も下回る予想となったからである。新規公開時の予想とは経常で70億円以上の開きがあり、市場は大きな衝撃を受けた。
このIPOには初めからトラブルがあった。主幹事が野村證券から大和証券に突然変わったのである。当時、野村證券の総会屋への利益供与が発覚したためと説明されていた。(ただしその後、大和証券等にも同様の事実が発覚し、変更の意味はあまりなかったことになる。)
おととし、JASDAQは証券取引所に衣替えした。以前は証券会社が審査を行っていたが、上場審査もJASDAQが行うことになる。先ほどのような上場直後の大幅な業績修正が発生しないよう充分な審査をお願いしたいものである。
参考:
日本経済新聞97/6/21、97/10/17、97/11/20、98/1/23
本日、バリュー社関連の刑事処分が決まるようである。中身をよく見てみたい。
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