投資家の目線

投資家の目線122(NOVAが新株予約権を発行する)

 給与の未払いなどが報道されている英会話教室のNOVAが、10月24日に新株予約権を発行する。同社のニュースリリースからすると基本的には次のように読める。
 資金調達額が70.7億円となっているが、新株予約権が7,000万円、調達資金の差引手取概算額が64億円、諸経費が6億円という内訳と思われる。履行されれば、新株予約権代金の7,000万円は確実に手に入るが、64億円の入金は株価動向による。この新株予約権の行使価格は1株当たり35円なので、株価がそれ以下なら市場で株式を購入するほうが低コストとなり、権利行使が行われないためだ(もっとも、発行数量が現在の発行済株式数の約3倍もあるため、発行数量と同量を市場で手当てすることはできない)。ただ、それだけ大量の新株を取得した場合は、売却によるマーケットインパクトも大きくなると考えられる。引受先はある程度、長期投資を覚悟しているようにも思える。
 同社の負債で大きな割合を占めるのは授業料の前受金である。もし顧客が、その前払いした分で授業を受けているだけならば、新しいキャッシュが入っていないことになる。株価動向と新たな売上計上の両方に注視が必要と思われる。

・同社新株予約権資料
http://www.nova.ne.jp/ir/pdf/shinkabu_071010.pdf
http://ir.nikkei.co.jp/irftp/data/tdnr2/home/oracle/80/2007/2a0b001/2a0b0010.pdf

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・今週末19日(日本では20日)は、ブラックマンデーからちょうど20年になる。あの年は、今はなき日本初の株式先物(もどき)の株先50がやっと取引を開始し、取引所にはまだ場立がいて、有価証券の受渡しは本券によるものだった。現在は様々な株式デリバティブがあり、取引所は完全電子化され、有価証券の電子化も進んでいる。日銀短観や、財務諸表もネットで見られる。今の投資環境はずいぶん改善されたものです。
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