そして、流通株式比率に関しては、プライム市場は35%以上、スタンダード市場、グロース市場は25%以上必要である。現行の流通株式数は上場株式から、主要株主が保有する株式(10%以上所有)、役員等の保有する株式、自己株式数を除いたものだが、改革後は保有比率が10%未満でも保有目的が純投資であるものを除く国内の普通銀行、保険会社及び事業法人等の所有する株式も流通株式数から除かれ(「流通株式の定義見直しについて」JPXホームページ)、上場株式数の基準が厳しくなる。
筆頭株主である日本製鉄が保有比率を2割弱に高めるための東京製綱へのTOB、出資比率を最大3割までに引き上げる投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントによるサンケン電気へのTOBなど、経営権を握る目的ではないTOBも見られる。TOBの際に、主要株主のようなもともと流通株式数から除かれるような株主からの株式の移転なら影響はないが、流通株式を保有する株主からTOB実施者への株式移転が起きれば流通株式数が減少し、プライム市場の上場基準から外れる企業も出てくるのではないだろうか?運用金額の大きい機関投資家が参入しにくい市場では、市場の時価総額も小さなものになるだろう。TOBの結果、プライム市場から外れる企業は、株価もディスカウントされたものになるのではないだろうか?それはTOB実施側だけでなく、公開買い付けの選に漏れ、保有の継続を余儀なくされる株主にとってもマイナスである。TOBを行う側も、そういうことを考慮して実施してほしいものである。
最近の「M&A」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事