投資家の目線

投資家の目線837(東京の国際金融都市化と東京五輪選手村)

 東京都が国際金融都市を目指して新戦略案をまとめたことが報じられた(「国際金融都市、実効性と機動性カギに 都が新戦略案」 2021/7/30 日本経済新聞WEB版)。東京都のHPでは、8月31日までパブリックコメント募集中であるが、新戦略案の内容はグリーンファイナンス(環境)、金融のデジタライゼーション(フィンテック)、多様な金融関連プレーヤーの集積を3本柱としている。

「国際金融都市・東京」構想 改訂(案) ~ サステナブル・リカバリーを実現し、 世界をリードする国際金融都市へ ~ 令和3年7月 東京都

 東京五輪の選手村では天井が低くて、長身の選手たちが生活に難儀していた(『東京五輪選手村、「首を曲げてシャワー」天井が低くて長身の選手たちは大変=韓国報道』 2021/7/21 (WoW!Korea))。選手村となった施設は「HARUMI FLAG」として、日本では価格高めのコンドミニアムとして売り出される予定である。

 ゴールドマン・サックスのトップからブッシュ政権の財務長官になったヘンリー・ポールソン氏はダートマス大学時代、「アメフトでは体格の割に健闘した。身長百八十八センチ、体重九十キロの体でオフェンスラインを務め」(「ポールソン回顧録」 ヘンリー・ポールソン著 有賀裕子訳 日本経済新聞出版社 p43)ていた。チェース・マンハッタン銀行に勤務経験があり、後にFedの議長になったポール・ボルカ―氏は、プリンストン大学入学時に、「6フィート7インチという私の身長が相対的に有利となるため、当然のように1年目からバスケットボール部にも入った」(「ボルカ―回顧録 健全な金融、良き政府を求めて」 ポール・A・ボルカー、クリスティン・ハーバー著 村井浩紀訳 日本経済新聞出版社 p37~p38)、6フィート7インチは約二百センチである。

 募集要項に身長制限の項を設けるならともかく、五輪選手だけでなく外国の金融人材でも長身の人は多い。国際金融都市を目指すなら、長身の外国人でも快適に生活できる住宅が必要ではないだろうか?構想案(p25)には「魅力的な生活面の環境整備」として、インターナショナルスクールの誘致や、多言語対応のサービスアパートメントや医療施設等の整備、LGBTの問題も含むダイバーシティ実現などがうたわれているが、住宅そのものの改善については書かれていない。

 なお「HARUMI FLAG」については、「東京都は都議会や都の財産審議会の審査を受けずに済ますため、普通では考えられないさまざまなトリック的手法を駆使し、周辺の地価評価より9割前後安い値段で払い下げた」(『五輪騒ぎの裏で「HARUMI FLAG」住民訴訟に新事実』 2021/8/3 東洋経済オンライン)疑惑が報じられている。

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