投資家の目線

投資家の目線412(アップルの社債発行)

 4月30日に、アップルが社債を発行すると発表した。調達した資金は配当や自社株買いなど株主還元のために用いられるようである。アップル社は手元資金が潤沢でデフォルトリスクがほとんどないので、社債を利用することで支払利息の分だけ法人税が低くなり、企業価値が増加する(節税効果)。

 ただし、株主は豊富な手元資金があるので還元するように言っているのに、社債で資金調達とはおかしなことだが、手元資金は『その7割近くは米国外にあるとみられている。資金を戻した場合に米国政府に支払う税金の額と、資金調達コストが低い債券市場の現状を比較。「(還元の資金は)債券市場を通じてまかなう」ことが有利だと判断した』(2013/5/2 日経産業新聞)という。

 負債の利用も余裕資金の削減も、経営者が豪華すぎる本社ビルを建設するような無駄な投資に資金を利用することが難しくなるので、株主と経営者の間のエージェンシーコストを低下させることが期待できる方法である。
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