投資家の目線

投資家の目線443(TPP交渉が越年)

 TPP交渉が越年するようだ。TPPは24分野と広範囲に及ぶため、いわゆる「ワシントン・コンセンサス」と呼ばれるものだろう。その「ワシントン・コンセンサス」を受け入れたのは、エリツィン時代のロシアである。彼はIMF等による「ショック療法」を受け入れ、その性急な改革に批判的な勢力の立て籠もる最高会議ビルを戦車で砲撃し弾圧した。そして、それを西側主要国は支持した。ファリード・ザカリア著「アメリカ後の世界」(楡井浩一訳 徳間書店)によれば、当時のことをクリントン政権の政府高官だったストローブ・タルボット氏は「あまりにもショックが強すぎ、あまりにもセラピーが少なすぎた」と説明している。

 一方、ローマ帝国はセラピーを提供した。エマニュエル・トッド著「帝国以後」(石崎晴己訳 藤原書店)によれば、「ローマの政治的支配によってグローバル化されたこの地中海経済の中で、イタリアの農民と職人はその有用性を失っていった。社会は経済的に無用の平民層と略奪的金権政治階層の二極に分極化した。(中略)平民は従順ではなかったが、地理的に中央部に居座っているため排除するわけにも行かず、終いには帝国の経費でパンと見世物、すなわち食料と娯楽を与えるようになった」と書かれている。生活保護のようなセラピーを減らして、TPPのようなショック療法を導入しようとする安倍政権は「ロシア型」に近いのではないかと思う。


 異なるものをくっつけるには「あそび」(余裕)の部分が必要だと思う。モノでも何でも「あそび」がないと、摩擦で壊れてしまうかもしれない。TPPのような制度の共通化には比較が楽になり、輸出入や対外投資がしやすくなるというプラスの面がある。しかし、各国対応のFTAのほうが融通無碍で、「あそび」の部分が大きく取れて安全性は高いと思う。

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・13/12/5 IWJ実況ch1 纐纈氏「中国の防空識別圏に関して。オバラさんという元自衛官の方で東京財団の研究員の方が、中国は非常に合理的だとおっしゃっていました。空の安定を守るためには、軍事的に合理的判断だとおっしゃりました」

 13/11/27中央社フォーカス台湾『防空識別圏問題 航空会社に飛行計画提出を要請=台湾・交通部』「葉部長は計画は相手側の民航当局への提出後、軍部に転送されるとしており、これは国際民間航空機関(ICAO)の規定に基づいて世界的に運用されているものだと述べた」

 台湾(中華民国)交通部長も中華人民共和国の飛行計画書提出は妥当と判断している模様だ。これらを見ると、中華人民共和国の防空識別圏設定は妥当なものだと思う。


・「外国人旅行者は「放射能不安」4割、政投銀調査、韓国、7割でトップ」(13/12/14 日本経済新聞 地方経済面 東北)。海外では、放射能による健康被害への懸念が払拭されていない。
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