オランダの公務員年金基金ABP(運用資産約3,000億ユーロ)が昨年東京電力株式をすべて売却し、今年1月1日付けで投資禁止企業に指定したと報じられた。
オランダ年金基金が東電株売却、原発事故処理への懸念で 2014年1月8日 ロイター
上の記事によれば、『ABPは7日発表した声明で「東電は、福島原発事故発生時、およびその後も、われわれの基準に違反していた。東電は、一般市民の安全についての認識が乏しかったと言える」と指摘した。(中略)東電については、ABPが社会責任投資のガイドラインとしている国連グローバル・コンパクトの10原則の内の「人権」と「環境」の2原則に関する目標を満たしていないと判断した』とされているので、この売却は社会的責任投資(SRI)に関する措置である。
アパルトヘイト撤廃の少し後ではあったが、同じオランダのある企業年金は南アフリカ関連企業への投資を禁じていたことがあり(軍事関連産業も禁止されていた)、SRIの考え方は以前からあったことが分かる。
「倫理や価値観に基づいて特定の銘柄や業種を排除する手法」をネガティブスクリーニングといい、この内容には国連グローバル・コンパクトなどの人権、労働、環境、腐敗防止などに関する国際行動規範も含まれる(「国内外におけるESG投資の現状と考察」小崎、竹林 証券アナリストジャーナル 2011年5月 図表1 ESG投資の類型 Eurosif[2010]、RIAA[2010]を参考に日本総合研究所作成)。東京電力はこれに抵触したのだ(原発事故に伴う除染作業員募集には反社会的勢力の関与も報じられている 『特別リポート:福島除染に巣喰う「ホームレス取引」と反社勢力』 2014年1月8日 ロイター)。
また以下の記事の最後にあるように、アメリカ合衆国内のキリスト教会がイスラエルの占領に関連にした米企業の株を売る(Divestment)運動を呼びかけている。これもSRIに関連した運動だろう。
「イスラエル国内の危機 ―シオニスト国家vs.ハレディーム」北沢洋子の国際情報 2013年5月25日
http://www.jca.apc.org/~kitazawa/undercurrent/2013/crisis_in_isreal.htm
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