姉歯事件を発端にして、建築基準法が改正(2007年6月)されましたが、その後の混乱の様子がテレビや新聞で報道されたので、多くの人によく知られていると思います。
そして、改正建築基準法に続き、昨年11月から(一部は2009年5月末から)改正建築士法が施行されました。
専門資格の創設や試験制度の見直し、定期講習の義務化などが行われ、建築士の資質や能力の向上を目指して、建築士の信頼回復を目指します。
今回は、改正建築士法の改正された中身を簡単に書き出しました。基準法や建築士法の改正が続いて、気にしながら手付かずだった書きかけのファイルをホームページにUPし、ここにもUPすることができて、ほっとしています。前回の「重要事項説明書」もこの改正建築士法の一部です。
・再委託の制限
たとえ委託者が許可しても、建築士事務所以外への設計・工事監理の再委託できません。
一定規模の共同住宅は、委託者が許諾しても、設計・工事監理を一括再委託(いわゆる丸投げ)することが禁止されました。
これは責任の所在をはっきりさせることが目的。
・建築士は3年ごとの定期講習を受ける
資格取得後、建築士事務所に所属する建築士(1級・2級・木造)は、3年ごとに法定講習を受ける。講習は講義と修了考査、修了考査で合格できなかった場合は、再受講する。
・建築士試験を見直し
建築士試験の受験資格が変わりました。
建築士のレベルアップ。
・管理建築士 条件が強化された
建築士事務所は、事務所を管理し、技術的な総括をするため「管理建築士」の設置が義務付けられています。改正法では、さらに設計監理業務の適正化をはかるため、管理建築士になるための要件が強化されました。
建築士として3年以上の実務経験を積んだ後、管理建築士講習を受講・修了しなければ、管理建築士になれません。
・重要事項説明を義務化
設計・監理契約前に重要事項の説明をしなければなりません。
説明事項は書面にして交付します。
マンションの売買契約前に宅建主任者によって行われる重要事項説明と同じような位置づけで、消費者保護を目的にしています。
(建築士事務所間の契約では重要事項説明は義務ではありません)
・構造設計一級建築士・設備設計一級建築士制度の創設
高度な「構造設計」あるいは「設備設計」の実務能力や専門能力を身に付けた一級建築士の資格が設けられました。一定の建築物について法適合確認などを義務付けられます。
私を含めた弱小建築事務所を営む多くの建築士にとって、今回の改正が、責任ばかりが重くなり、巷間言われているような「建築士 大淘汰時代」の幕開けになるとしても、建築士の質の向上と社会的な理解と信頼を得られるよう、切に願ってこのページを書きました。
それは結局、消費者保護、クライアントの利益に繋がるのだと私は考えます。
お読みくださいまして有難うございます。
改正建築士法 政府広報オンライン
1月28日から新しい建築士制度が始まります
※ 参考 日経アーキテクチュア 2008 11-24