そんなやり取りの中、とも子は声が聞きたいと言ってきた。
正直ためらいもあったが、そこで断ってはいけないと思い、彼女の仕事が終わる時間に合わせて電話をした。
夜遅くまで働いているくらしく、いつも深夜一時ごろになる。次の日の学校は一限からでそんな遅くまでは起きていたくなかったが、とも子の時間に合わせることにした。
時計の針が十二時を回り、一時に近づくにつれ、落ち着きがなくなり、ストーブのスイッチを入れたり、切ったりしていた。一時五分になり、携帯電話を握り締め、ボタンを押した。
プップップと電子音の音の後、運命を決めるカウントダウンのようなコール音が鳴った。
それと共に心臓の高鳴りも聞こえてきた。
「もしもし…とも子さん?」
声が震えた。
年齢の年上年下に限らず、僕は女性に対し、敬語になる癖がある。
「ふふふ、そうだよ。博之くん緊張してるでしょ?」
初めて聞いたとも子の声は芯が真っ直ぐな感じで、大人な女性の感じがした。何もかも全てお見通しのように笑って答えた。
もし声に色があるとしたら、藍色かモーヴのような落ち着いた色がふさわしい。しかし、話は緊張しているせいか、すぐに無言になってしまった。
メールで伝えきれていないことはたくさんあるが、肝心なときに言葉が出てこなかった。
「ねぇ、今度会ってみない?」
言いたくても言えなかったことをとも子の口から聞いた。
電話に当てている耳が熱くなり、右耳から左耳に電話を持ち替え、すぐに答えた。
「はい、わかりました。いつ空いてます?」
右手でガッツポーズを取りながら、胸に手を当て心臓の鼓動の速さを確認した。
「毎週月曜日が休みだから、来週は大丈夫?」
すぐさま引き出しから手帳を取り出し、予定を見た。
偶然にもその日はバイトが休みになっていた。
「その日にしましょう」
なぜか中腰の姿勢になって、反応を待った。
「わかったわ。あと、敬語使わなくていいからね」
一瞬、間を置き、確信的に僕は答えた。
「はい、わかりました」
そういうと、彼女はまた笑い電話を切った。
手帳を手に取り、月曜日の空欄に『予定あり』と記入した。なぜか、堂々とデートとは書けなかった。
後に見たときのためかは、わからないが、未だに手帳にデートという文字を書いたことがない。
二人で会うと決めたものの、デート経験がまるっきりない僕にはデートプランなど白紙の状態にあった。
次の日から情報収集をしなければならない。
手帳に場所、時間、一日の流れと書き入れた。結露で濡れている窓をゆっくりと開けた。
深夜一時が過ぎ、寒さもピークに達し、吐く息は白く、吸う空気も冷たく硬い気がした。
冬は夏よりも空気が澄んでいるから星がよく見えると、誰かから聞いたが、その違いがよくわからない。
でもいつもより輝いているように見えた。
あの星の輝きは何万年前の光がいま地球にいる僕に届いている。
でも、僕は今すぐ光り輝きたい。
今は光り輝く一等星じゃなくてもいいから、いつかは夜空を照らす星になりたい。
南の空に微かに光る星が自分と重なり合って見えた。
誰にも気づかれなくひっそりと輝く星。
何等星かはわからないが、星の光は絶えることなく、僕の目にいつまでも焼きついていた。
正直ためらいもあったが、そこで断ってはいけないと思い、彼女の仕事が終わる時間に合わせて電話をした。
夜遅くまで働いているくらしく、いつも深夜一時ごろになる。次の日の学校は一限からでそんな遅くまでは起きていたくなかったが、とも子の時間に合わせることにした。
時計の針が十二時を回り、一時に近づくにつれ、落ち着きがなくなり、ストーブのスイッチを入れたり、切ったりしていた。一時五分になり、携帯電話を握り締め、ボタンを押した。
プップップと電子音の音の後、運命を決めるカウントダウンのようなコール音が鳴った。
それと共に心臓の高鳴りも聞こえてきた。
「もしもし…とも子さん?」
声が震えた。
年齢の年上年下に限らず、僕は女性に対し、敬語になる癖がある。
「ふふふ、そうだよ。博之くん緊張してるでしょ?」
初めて聞いたとも子の声は芯が真っ直ぐな感じで、大人な女性の感じがした。何もかも全てお見通しのように笑って答えた。
もし声に色があるとしたら、藍色かモーヴのような落ち着いた色がふさわしい。しかし、話は緊張しているせいか、すぐに無言になってしまった。
メールで伝えきれていないことはたくさんあるが、肝心なときに言葉が出てこなかった。
「ねぇ、今度会ってみない?」
言いたくても言えなかったことをとも子の口から聞いた。
電話に当てている耳が熱くなり、右耳から左耳に電話を持ち替え、すぐに答えた。
「はい、わかりました。いつ空いてます?」
右手でガッツポーズを取りながら、胸に手を当て心臓の鼓動の速さを確認した。
「毎週月曜日が休みだから、来週は大丈夫?」
すぐさま引き出しから手帳を取り出し、予定を見た。
偶然にもその日はバイトが休みになっていた。
「その日にしましょう」
なぜか中腰の姿勢になって、反応を待った。
「わかったわ。あと、敬語使わなくていいからね」
一瞬、間を置き、確信的に僕は答えた。
「はい、わかりました」
そういうと、彼女はまた笑い電話を切った。
手帳を手に取り、月曜日の空欄に『予定あり』と記入した。なぜか、堂々とデートとは書けなかった。
後に見たときのためかは、わからないが、未だに手帳にデートという文字を書いたことがない。
二人で会うと決めたものの、デート経験がまるっきりない僕にはデートプランなど白紙の状態にあった。
次の日から情報収集をしなければならない。
手帳に場所、時間、一日の流れと書き入れた。結露で濡れている窓をゆっくりと開けた。
深夜一時が過ぎ、寒さもピークに達し、吐く息は白く、吸う空気も冷たく硬い気がした。
冬は夏よりも空気が澄んでいるから星がよく見えると、誰かから聞いたが、その違いがよくわからない。
でもいつもより輝いているように見えた。
あの星の輝きは何万年前の光がいま地球にいる僕に届いている。
でも、僕は今すぐ光り輝きたい。
今は光り輝く一等星じゃなくてもいいから、いつかは夜空を照らす星になりたい。
南の空に微かに光る星が自分と重なり合って見えた。
誰にも気づかれなくひっそりと輝く星。
何等星かはわからないが、星の光は絶えることなく、僕の目にいつまでも焼きついていた。