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アイススケート、アート鑑賞、食べ歩き等の雑記。

鉾井喬「風はどこで生まれたのか?」(ビエントアーツギャラリー)

2023-04-30 14:34:10 | アート鑑賞
高崎のビエントアーツギャラリーで開催中の鉾井喬さんの個展に行ってきました。



今回の展示は写真が中心。
「風を可視化する」というコンセプトで制作されているそうです。



カメラが風上を向くような装置を作り、露光時間を8分19秒に設定しているのだそうです。
8分19秒とは太陽から地球に光が届く時間。
その時間で風がどのように動くのか。

このコンセプトで写真を撮り始め、いろいろ試行錯誤されたお話も伺いました。
はじめのうちは露光時間も8分19秒ではなく、2分くらいだったそうです。
中之条ビエンナーレで旧廣盛酒造で展示されていた作品は、その過渡期の作品だったのだとか。

さらに今まではデジタルで撮っていた写真を、最近はフィルムで撮っているそうです。



右の作品から時系列で並んでいるそうで、額に入っていない作品はデジタルのインクジェットプリント。
額に入っている作品はフィルムのタイプCプリントだそうです。
どちらの作品も素敵ですが、フィルムの写真の方がより風の動きが捉えやすい感じがします。



こちらは中之条の野反湖で撮った写真だそう。
右上の写真の中にぼんやりと黄色い部分があるのは、ニッコウキスゲが咲いている時期だったから。
野反湖の澄んだ空気、ちょっと鋭い風の動きが伝わってくるようです。



こちらは街の夜景が映り込んでいるから、このような赤い線が出ているのだそうです。
自然の風景だと何となく一枚の画に収まって、人工物は明らかに異質な存在として写るところが興味深い。

鉾井さんといえば中之条ビエンナーレ2021の湯本家での展示が印象的でした。
このエネルギーと私たちの生活との関係性についての話を聞いてみたいなと思っていたのですが、鉾井さんご本人がいらっしゃったので聞いてみました。
実はこの湯本家で装置の動力源が動いていた場所は、台所の隣の部屋だったのだそうです。
エネルギーを消費する場所を象徴する台所。
そして、風の動きを受けて緩やかに動く外の装置。
その二つを線で結ぶ。
人間の動きも自然に影響するし、自然も人間の生活に影響する。
エネルギーを使わない時代には戻れないけれど、自分たちの生活が自然に負荷をかけていることに自覚的でありたい。

作品を観たときにふわっと感じたことが、言葉にしていただくことですっと入ってきました。
思い切って聞いてみて良かったです。






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