(Mon)
新聞記事の小説を紹介しているコーナー。
そこで文芸評論家の方の文章がとても印象的だったので抜粋☆
引用させて頂きます
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人を幸福にさせる小説はまがいものだ、と昔は思っていました。
十代後半に惚れ込んだ三島由紀夫やなまかじりの哲学の影響で
すぐれた文芸は人生の虚妄を暴き立てるものであり、
死という宿命の前にはあらゆる幸福は色褪せるものだ、という
厭世観にとりつかれていたからです。
ところが、子ができて変わりました。
子は汚し、壊し、奪う。面倒、厄介の塊です。
にもかかわらず、いとおしい。
この腹立たしい矛盾に、心ならずも魅了されてしまいました。
矛盾を暴いても仕方ない。矛盾に満ちたものを信じるところからしか、
生きようがない。
今は、こう考えるようになりました。
厭世観ですら、もとをただせば、裏返しの幸福追求にほかならない。
ならば、いっそ、死にも色褪せない幸福の形を堂々と差し出す方が、
文芸の存在理由としてふさわしい、と。
(文芸評論家/三輪太郎)
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宮本輝氏の「花の降る午後」という本を紹介する前書きとして書かれていました。
厭世観っかぁ…ネガティブかも~って読み進めていくうち
人生観まで変えられそうなくらい魅了されてしまうヒト、そしてヒトに限らず
モノ、コトに出会えるって人生のスパイスになって面白いしイイナって思って
新聞記事の小説を紹介しているコーナー。
そこで文芸評論家の方の文章がとても印象的だったので抜粋☆
引用させて頂きます
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人を幸福にさせる小説はまがいものだ、と昔は思っていました。
十代後半に惚れ込んだ三島由紀夫やなまかじりの哲学の影響で
すぐれた文芸は人生の虚妄を暴き立てるものであり、
死という宿命の前にはあらゆる幸福は色褪せるものだ、という
厭世観にとりつかれていたからです。
ところが、子ができて変わりました。
子は汚し、壊し、奪う。面倒、厄介の塊です。
にもかかわらず、いとおしい。
この腹立たしい矛盾に、心ならずも魅了されてしまいました。
矛盾を暴いても仕方ない。矛盾に満ちたものを信じるところからしか、
生きようがない。
今は、こう考えるようになりました。
厭世観ですら、もとをただせば、裏返しの幸福追求にほかならない。
ならば、いっそ、死にも色褪せない幸福の形を堂々と差し出す方が、
文芸の存在理由としてふさわしい、と。
(文芸評論家/三輪太郎)
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宮本輝氏の「花の降る午後」という本を紹介する前書きとして書かれていました。
厭世観っかぁ…ネガティブかも~って読み進めていくうち
人生観まで変えられそうなくらい魅了されてしまうヒト、そしてヒトに限らず
モノ、コトに出会えるって人生のスパイスになって面白いしイイナって思って