寄って来たのは、今猟銃が鳴り響いたばかりの猟犬たちの一頭・・また一頭。
こう見えても私は獲物じゃないと「い、い、いや、あんた仕事中やろ。早よ、行き」
猛々しい感じではなくても大きくて、ぐるぐる回られると獲物と勘違いされるようで流石に恐い。怯えを見せないほうがいいと落ち着いた振りをして話しかけた。
猿の群れに行く手を塞がれたこともあり、その時はにらみ合って勝ち、サルだけに去って行った。
何かの物音がして覗いた栗林から、突然イノシシの荒い鼻息を聞いて飛んで逃げたこともあった。
人通りのない田舎道を歩くのは大好きだけれど、此処は獣も好きなようで、オコジョのような可愛い生き物に出会うこともあるが、時々はちょっと危険な遭遇もある。
猟犬は仲間と一緒に山に入っていったけれど、少し行くと激しい犬の吠え声がして、一頭の鹿が柵を飛び越えて谷に入った。そのまま上がって来たらこちらに来る。目の前で起たことに、やっと自分がかなりな危険の中に居ることに気付いた。
おじさんを見つけて近づくと、
「こんなとこでウロウロしていたら危ないで、流れ弾に当たるかもしれんやろう。何処の人や。」答えると「家まで送ったるわ」と車で救出してくださった。
好きな道なのに・・、もう自由に歩くことが出来なくなったのかなと残念無念。
今日はドローンを使って猿の追い出しをしていた。上空から激しい犬の鳴き声を流して・・。
田舎はオミクロンもなく、ほとんど無人の道を私はマスク無しで歩いている。それは本当にありがたいのだけれど・・、戦わなければならないものもあるのだ。
我が家の物置の屋根も、高い所から飛び降りた猿に破られて、息子に修理してもらった。
猿は畑のものだけではなく、小屋に保存されているものまで片っ端から食い荒らす敵と化している。今や、彼らに天敵というものが居ないのだった。人はせいぜいドローンだし・・。