撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

東部国境沿いの教会スケッチ(1)

2020-10-22 00:39:40 | 海外生活

 ハンガリーの東部はスロヴァキアとウクライナに接しています。

四方を海で囲まれた日本では塀あるいは金網の向こうが隣国だなんて想像がしづらい訳

ですが、ひと昔前まではその塀を越えることはタブーでした。(EUに加盟していない

ウクライナは緩和されたとは云え、未だ国境警備は厳しいものがあります)

ハンガリーの風物詩である草原の牧草ロール(ロールベール)と隣国の山岳地帯を望む

風景がこの地方の特徴であろう。

  

                                   Aug. 19 2008 撮

  ロールベールは直径 1.5m 、重さ 350 kg ほどの大きさで牛などの家畜の餌となる。

 

 そして日本の合掌造りに相当する茅葺屋根の古民家

  

 

<ロケーション>   .... 赤丸印は今回紹介する教会の位置

  シャーロシュパタク (Sárospatak) はジグモンド (Zsigmond 在位1387-1437)国王

 から自由都市の優遇を受け、特にポーランドとの交易の要衝として、15世紀頃に

 急速な発展を遂げていた。

 その頃の1531年に開校された神学校は、ハンガリー国内でも最も古く、日本で云えば

 足利学校や松本市の開智学校に相当するのだろう。 ボドログ (Bodrog) 河畔に佇む

 城塞の石垣に囲まれた人口12,000人(2018年)ほどの小さな町である。

  

  城は最終所有者の名に因んで、ラコチ城 (Rákócsi vár) と呼ばれている。

  ハンガリー紙幣の 500 フォリントの裏面に描かれているので歴史的にも知名度の

 高い建造物である。

  

  紙幣には城塞だけではなく、ミュージアム内の建造物も描かれている。

                ↑ 要塞(レッドタワー)と東ウイング

 ミュージアム入口 ↓

 

■ シャーロシュパタク城教会 (Sárospatak vár templom)

    教会は城の建設(1534~1537年)と同時期の1537年に建てられた。

 北ハンガリーで最大のゴシック様式のホールタイプの教会である。

  

  

 

  祭壇部            西入口側内陣

    

  祭壇には聖エリザベス(1207-1231)が祀られている。 聖エリザベスは城を作った

 ハンガリー王アンドラシュ (András) 2世(在位1205~1235年)の娘でこの城で生まれ

 たと云われているが定かではない。

 彼女はハンガリー国内の多くの教会で祀られているので13世紀当時には国家的貢献を

 し、聖女とされている。 あの有名なハプスブルグ家の王妃のシィシィではない。 

   

 今回の掲載には割愛したが、この近郊にあるグンツ (Gönc) 教会のステンドグラス

 

■ カルチャ (Karcsa) 改革派(カルヴィン派)教会

 教会はロマネスク様式のレンガ造りで12世紀に建てられた。

  

 

 ● 美しきロマネスク様式の西門

 

 

 🔹 守護神のライオンの石像  

    

 

 🔹 葡萄の葉を模した石柱の飾り

 

 ● 教会の母屋と離れている鐘楼    ... この地方の特徴

    

 

 ● 内陣

  古い方の小さい内陣は12世紀に6箇所の祭壇を持った円形に造られていた。

 13世紀に大きい方の内陣が追加され、最終的には5箇所の祭壇というユニークな

 内陣形状の教会になった。 1964~1968年に改修した物が現在の姿である。

 

 🔹 古い方の内陣 ... 仕切り壁の向こうに3つ祭壇部がある

 

 🔹 新しい方の内陣(真ん中の入口と両サイドに祭壇2つ)

 

 🔹 この新しい方の祭壇部にある石柱の彫刻がこの教会の見所の一つでもある。

    

 

🔹 村の民芸品としての刺繍は全国的に有名

 

 

  これにて「東部国境沿いの教会スケッチ(1)」は、お終いです。

  本ブログへのご訪問を感謝致します。