先日、ネットサーフィンしていて、何かの拍子に「七色仮面」という古い特撮ヒーロー番組を見る機会があった。
で、七色仮面を見ていて、ふと思ったことがある。
いや、その「思ったこと」は、「月光仮面」や「少年ジェット」などの古い特撮ヒーロー番組を以前復刻ビデオなどで見た時にも感じた疑問点だ。
七色仮面や月光仮面などは、一体正体は何者だったのだろう。
いや、仮面の中の人物像のことではなく、彼らの設定そのものへの単純な疑問点。
彼らは、普通の人間以上の能力を持っているようだが、彼らの正体は何だったのだろう。
ロボットではないだろうし、サイボーグらしき設定でもなさそうだ。
超能力者?宇宙人?ミュータント? それとも?
・・・まさか、ただの、「拳銃がうまい、運動神経のいいオジサン」?
例えば、エイトマンやアトムはロボットだ。
009や仮面ライダーはサイボーグ。
ウルトラマンやスーパーマンは宇宙人。
スパイダーマンやキャプテンアメリカはミュータント。ただし、見かけは常人と変わらないミュータント。
なので、彼らが常人とはかけ離れた能力を持っているのには、一応説明がつくし、理由もある。普通の人間ではないことが明らかにされているからだ。
ならば、月光仮面や七色仮面、少年ジェット、などは?
そこがどうにも謎。
月光仮面は「月よりの使者」というキャッチコピーもあったので、「月世界人」なのかもしれないが、はっきりしない。
七色仮面は、映像見るとテレポーテーション能力や変身能力があり、拳銃の弾も平気なので、常人とは思えない。
少年ジェットのミラクルボイスは、地震を引き起こす。そんなの普通の人間にはできない。
黎明期にはナショナルキッドなるヒーローもいたが、キッドは空も飛べたし、宇宙人なんだろうと思う。もしくは異次元人。
怪傑ハリマオは、運動神経がよい、拳銃のうまいオジサンだった。
だが、月光仮面、七色仮面、少年ジェットあたりは??
明らかに人間以上の能力が設定されてるし、ただの「運動神経がよく拳銃のうまいオジサン」というだけでは、あの能力は説明できない。
だが、作品中では、彼らの設定については明らかにされていない。
まあ、だから「謎の人」なんだろうけど・・。
そのへんが曖昧なままだった。
今なら、ああいう「人間以上の能力」を持っている場合は、その設定についての言及が作品中にあるだろう。
なぜ彼らがそういうことができるのか・・・についての妥当性である。
でも、月光仮面や七色仮面が活躍した時代には、ヒーローの設定について説明がないまま、単に「謎の人」というだけで通していた。
大らかな時代だったのだろう。
もしや・・「謎の人」・・・というのが正体だったのかな。
だとすると、なんでもできるやね(笑)。
なまじ設定についての説明があると、その設定にしばられてしまう物語進行も出てくるだろう。
だが、謎の人ということで押し通していけば、なんでもできる。
そういう意味では、作り手側としては便利。
ただ・・今の感覚で見てしまうと、どうしても・・・彼らの正体・・というか設定に「妥当性」がほしくもなってくる。
なぜ、そういう能力があるのか、なぜそういうことができるのか・・・といった。
宇宙人やサイボーグだから・・という設定があれば、まあ「だからできるのか」とも思えるし。
となると、あの当時は、宇宙人やサイボーグ、超能力者・・などといった「種族」の種類のひとつとして「謎の人」という種族があったのだろう。きっと(笑)。
問答無用で、いざとなれば何でもできる、どうとでもできる、究極の種族・・・それが「謎の人」という種族なんだね。
それこそ、神にも匹敵する種族。説明や科学や、ストーリーのつじつまや必然性や矛盾をも超越する種族。
いわば、製作側にとって一番便利で、視聴者側にとっては最強の種族だ。
死んだのに生き返っても、「謎の人」なんだからしょうがない。
拳銃で撃たれてやられる時もあれば、やられない時もある。でもその矛盾も、「謎の人」なんだから仕方ない。
いくら至近距離で拳銃で撃たれても、弾があたらない。でも「謎の人」なんだから文句は言わせない(笑)。
歌を歌って現れる暇があるなら、歌を歌う時間を、すみやかな事件解決のために使えばいいのに、誰も文句を言わない。でも「謎の人」は気まぐれなのだ。常識をも凌駕してるのだ。なぜならなにせ、「謎の人」なのだ。
身近な人から見たら、すぐに覆面の中の正体をすぐに見破られてもおかしくないのに、見破られない。だって「謎の人」なんだもの、つべこべ言ってはいけない。見破られないのも「謎」だからこそ。
特に、放送初回などで、デモンストレーションのために、持ち技の大半を無駄に悪人に披露しても、その後の活躍において不利になることもない。なぜなら「謎の人」なのだから。
謎の人なら、いきなり人間らしき人が腕や目から光線を放射しても許される。
謎の人だから、どんな高いところから飛び降りても平気。引力すらかなわない。ということは、宇宙の定理すら通用しない。
「謎の人」たる者、細かいことは、いちいち気にさせない。
う~む、種族「謎の人」、恐るべし。誰もかなわない。宇宙も、天変地異も、悪人も、視聴者も、味方も、製作側スタッフも。
「謎の人」がかなわない相手は・・・スポンサーぐらいなものかもしれない。
だが、今は「謎の人」という設定の種族は・・・見かけなくなった。
それは
謎が謎でなくなってきてしまっているからかもしれない。
そういう意味では、ヒーローの種族の設定としては、「謎の人」は絶滅してしまった種族なのかもしれない。
かつては最強の種族だったのに・・。
結局、「謎の人」という種族は、謎のままどこかに消えたのだ。
なぜ消えたのか?
それも「謎」だからこそ。
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