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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

幕末の微笑み

2014年12月21日 | レビュー(テレビ、ゲーム、本、映画、その他)

動物の中で「笑う」という表情をできる動物は、人間だけらしい。

たまに、バラエティなどで、笑顔の犬などが取り上げられることがあるが、あれは笑っているのではなく、単に「そう見える」だけらしい。

で、「笑う」という行為ができる人間なのであるが、写真を撮ってもらう時、笑顔になるか、しかめっ面になるかで、撮られた写真を見た人がその写真に映ってる人間に対して感じるイメージはだいぶ変わる。

 

さて。

この写真の笑顔の女性なのであるが、一見「時代劇」の作品の1シーンにも見えるし、時代劇を撮影中の女優のブロマイドのようにも見えるし、時代劇作品撮影中のスナップのようにも見える。

だが、それはすべて間違い。

なんと、これは、明治元年に撮られた写真らしい。この女性は正真正銘、幕末と明治初期の時代を生きた女性である。

そう、これは本物の「幕末・維新の女性の笑顔」の写真なのである。

この女性の名前は分かっていないが、一説によると「ふく」という名前があるとか。

 

当時、写真を撮られると魂を抜かれる・・・みたいな迷信があったらしく、写真を撮られるのを不吉に思ったり、拒否する人も多かったらしい。

例えば西郷隆盛さんなんかも、その中の一人である。

そのせいかどうかは定かではないけど、幕末の人物が写真を撮られる時は、緊張感のある表情だったり、ムスッとした表情をしてる場合がほとんどだった。

思いだしてほしい。今も世に残る「幕末の人物の写真」を。

ほとんどの人物が、笑顔ではない。

龍馬しかり、徳川慶喜しかり、高杉晋作しかり、近藤勇しかり、その他たくさん。

皆・・・ムスッとしたり無表情だったりしてるはず。

 

だが・・・この女性のとびきりの笑顔はどうだ。

笑顔の写真が後世に残されてるなんて・・・幸せなことではないだろうか。

この笑顔のおかげで、我々は、この名もなき女性に対して好感や親近感を持ってしまうのではないだろうか。

この女性は、どんな人生を送ったんだろうね。

 

人間はいつか死ぬ。だが、写真は残る。

自分の死んだ後に、自分のことを全く知らない人が自分の写真を見た時に、好感や親近感を持ってもらうには、やはり笑顔というのは大きな力になる。

 

さきほど、龍馬の名前を出したが、龍馬の盟友には中岡慎太郎という志士がいたのは、ご存知の方も多いだろう。

龍馬と共に、薩長同盟締結のために奔走した男だ。龍馬が海援隊なら、中岡は陸援隊であった。

 

この中岡は、龍馬同様に写真が残されている。

 

    

 

 

正面から撮った写真での中岡は、人を射すくめるような、にらみつけるような、ガンをつけた顔をしている。

彼の生きざまを知ってると、その厳しい表情には説得力もあるし、迫力もすごい。

いかにも、強い意志を持って、激動の時代に命をかけて生きた人間らしい感じが表情にでている。

だが、この中岡には、違う表情の写真も残されている。

それがまた、前出の「きびしい顔」とはうってかわった、「笑顔」の顔である。

この表情がまたいい。

 

 

この笑顔の写真を見ると、中岡に親近感を持ってしまうだろう。

あの激しい生き方をした彼の、こんな柔和な表情が残されているのだ。

きびしい顔と、笑顔。その両方の写真が残っているおかげで、中岡の人柄が立体的に伝わってくる気さえする。

今思うと、あの中岡の、こういう写真が、よく残されてるものだと思う。

ただでさえ、幕末の志士の(志士以外も)笑顔の写真など、ほとんど無いというのに、その上、あの激しい生き方をした中岡慎太郎の笑顔なのである。

なにやら奇跡にも近い写真じゃないだろうか。

一説によると、この笑顔の写真は、中岡の隣に芸者が写っていたらしい。その写真から、芸者が写っている部分を削除したらしい。

 

 ムスッとした表情の人物写真が多い幕末維新の写真の中で、こういう笑顔の写真を見つけると、とりわけ印象的で、異彩を放つ感もある。

幕末維新の時代だって、今だって、厳しい顔をした表情をした人ばかりではないし、嫌なことと良いことは同居してたはず。

どんな時代にも笑顔はあったはず。

そう考えると、笑顔の写真は、たとえその時代が辛いことが多かった時代であっても、その人が写された時代の「救い」なのだ。

 

どんなに厳しいご時世であっても、笑顔を見つけたいし、残しておきたいものだ。

 

 

 

 

 


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