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「少年画報」復刻版紹介シリーズ 5  別冊付録「ビリーパック」 by 河島光広 

2013年02月03日 | 漫画・アニメ、そして特撮

平成の世に復刻された、少年漫画月刊誌「少年画報」昭和35年度正月号の紹介シリーズ、その5。

付録紹介としては、その3。

 

今回紹介するのは「ビリーパック」という別冊付録漫画で、作者は河島光広さん。

私は、この復刻本を入手するまで、河島さんのことはよく知らなかった。

河島さんは、当時の漫画界において、その画力や構成力でかなり優れた漫画家の1人であったようで、手塚先生もおおいに河島さんを意識していたらしい。

だが、河島さんは1961年に肺結核のために、30歳という若さで他界されてしまったらしい。

・・というと、生れは1931年前後ということになるので、もし長生きされていたら、今現在で80歳を超える年齢の方ということになる。

この「ビリーパック」という漫画も私はこの復刻本を入手するまで知らなかったので、この漫画について少しだけ調べてみた。

主人公ビリーは、少年探偵である。

ビリーとはどういう設定のキャラクターだったかというと・・・

戦前の日本で、アメリカ人ウィリアム・パックと、日本人女性との間に生まれた混血児。

青い瞳を持つ。

父はスパイ容疑で殺され、母は父が捕まる時に殺されている。

戦後ビリーはアメリカに渡り、少年探偵となる。

そして日本に帰国して、彼の活躍が漫画で描かれる・・・そんな設定だったようだ。

当時の時代性は色濃く反映されている設定・・・と言えるのでは。

 

今も昔も探偵ものは根強い人気がある・・・ということだろう。

この漫画は、探偵アクションものなのだ。

当時も、少年探偵ものはいくつもの作品があった。

まぼろし探偵しかり、鉄人の金田正太郎もそう。江戸川乱歩の小説には「少年探偵団」もあったし。

ただ、この「ビリーパック」を読んでて思ったのだが、主人公ビリーは、他の少年探偵ものほど少年っぽいイメージはない。

むしろ、大人びている。

背は高くてスラッとしているし、全体的にスマートで、等身も大人っぽい。

ファッションは、ハンチング帽とトレンチコートなのだが、その着こなしは「大人の着こなし」って感じで、決して少年っぽくはない。

当時これはかなりオシャレで、クールなキャラクターだったのではないか。

少年というよりも、若者・・という感じだ。

キャラもそうなら、全体的な絵柄も、当時の他の漫画よりも垢ぬけてモダンな感じ。

まあ、今読むとさすがにレトロな絵柄ではあるのだが、当時の漫画の中にあっては、異彩を放つ絵柄だったのではないか。

 

この「ビリーパック」は、不滅の名作とされている作品で、当時「少年画報」の看板作品の一つだったようだ。

「少年画報」に連載されてたのは、1954年10月号から1961年6月号までらしい。

なるほど・・・ならば私がこの作品を知らなかったのは仕方ない。

長生きされてれば、昭和の漫画界を引っ張ってゆく存在にもなられたことだろう。

その意味では、若くて他界されたのが惜しまれてならない。

 

あの時代にあって、日本とアメリカのハーフで、背が高くて、大人っぽくて、かっこよくて、「ビリーパック」という、アメコミっぽい名前・・・・当時の日本人が持っていたであろうアメリカへの憧れが、このキャラクターには投影されていた・・ということなのかな。

日本人少年とは思えぬ雰囲気だしね。

 

 

 ↑別冊付録「ビリーパック」の裏表紙。

「まぼろし探偵」「赤胴鈴之助」と共に、「ビリーパック」が少年画報の看板作品だったことが窺い知れる。


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