恐怖漫画の第一人者、楳図かすお先生。
涼しくなりたい時は、先生のとびきり怖い漫画を味わうのもいい。
先生の作品には、相当惚れ込んだ。
先生の恐怖漫画には傑作が多い。
少女週刊誌に連載された「へび少女」「ママがこわい」、「ミイラ先生」「半魚人」「ひびわれ人間」「肉面」「奪われた心臓」「おろち」「洗礼」「烈願鬼」「イアラ」・・その他にもたくさん。
中でも、極めつけ・・って感じで怖かったのは「おみっちゃんが今夜もやってくる」だ。
これは本当に怖かった。だいいち、タイトルからして、すでに「来てます」。
私の部屋に泊まりにきた何人かの友に読ませたこともあるのだが、「これって、心臓に悪いよ」と言っていたもんだ。
相当「こたえた」ようだった。
なにしろ、しつこい(笑)。
出て来るオバケがしつこいのだ。
何度も何度も出て来る。
子供のいないある夫婦にある日貰われてきた美少女おみっちゃん。
夫婦にはたいそう可愛がられたのだが、不幸なことに、ある日病気で死んでしまう。特に自分の居た部屋に未練を残して。
自分の墓を、自分のいた部屋の真ん前にある庭に建ててほしいという遺言を残して。
しかも、その部屋が墓に面している部分は全部ガラス張りにしてほしいとも言って。
その結果、おみっちゃんの墓から、部屋の中は隅々まで見れるようになっていた。
つまり・・この場合・・・おみっちゃんの居た部屋を、彼女の墓が見張っているような感じになった。
これがいけなかった・・。
やがて、おみっちゃんが亡くなってしばらくたった頃、この夫婦は新たに養子を迎えた。
いわば、おみっちゃんの後がまだ。
今回も可愛い少女だった。
で・・その子は・・・おみっちゃんの使ってた部屋を使うことになった。
もちろん、部屋の前の庭には、部屋を見張るようにおみっちゃんの墓が建っている。
それが悲劇と恐怖の始まりだった・・。
こんな部屋、使いたくないよねえ・・・。
現世に大きな未練を残し、自分のいなくなった後にきた人物に嫉妬してしまった、死んだ人間の思いというのは恐ろしい。
こういう作品に出て来る霊は、いわゆるストーカーみたいなものだ。
ただ、死んでるというだけで。
しかも、死んでるせいで、生きてる人間にはない能力みたいなものが備わっているので、やっかい。
つきまとう、その人に対する特別な思いがある、しつこい、危害を及ぼす、心理的に追いつめる・・など、現代の「生きるストーカ-」と変わらない。
そう考えると、今の社会でストーカーに悩んでる人は、霊に祟られてるようなものなのかもしれない。
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