牧冬吉さんをご存知だろうか。
昭和30年代40年代に大活躍された役者さんである。
「怪傑ハリマオ」「隠密剣士」そして「仮面の忍者赤影」「河童の三平(実写版)」「柔道一直線」など、子供向けのヒーローものドラマには欠かせない役者だった。他には例えば「恐怖のミイラ」のDVDを観てたら、チンピラ役として出ていたので驚いた覚えもある。愛すべきチンピラぶりだった(笑)。
だが、私個人的には、なんといっても「仮面の忍者赤影」での白影役のイメージが強い。
子供たちにとっては、人間味あふれるやさしいおじさん役・・といえば、牧さんだった。
白影はおじさん忍者で、いつも仲間を優しく見守る暖かい存在だった。
つい主役の赤影のかっこよさや、少年忍者青影のお茶目さに目が行きがちだが、一歩引いたようなところで赤影や青影を見守る白影おじちゃんが私は大好きだった。居るだけで安心感がある・・・そんなキャラクターだった。
ついでに言えば、白影の髪の毛に混ざる部分白髪がカッコよかった。
今現在、野球の星野仙一さんの部分白髪が粋に思えるのは、私の中では多分に白影の白髪のカッコ良さが影響してると思う。
で、さらについでに言えば、牧さんは私の通ってた学校のある先生と同じ顔をしていた(爆)。
やさしいおじさんといった感じの牧さんではあるが、実はこの方、赤影よりも古い作品では悪役として強烈な存在感を誇っていた。
例えば怪傑ハリマオで。
ハリマオの中では、何度も悪のボス役を演じている。何度も演じているからといって、同一人物役ではない。
あるエピソードでは海賊の親分、あるエピソードではギャング(?)のボス。
当時のエピソードは1話完結ではなく、延々と何回にも渡って話が続いてゆく。彼は出演するどのシリーズでも悪のボス役だったから、全編に渡って登場している。
普通、同じ番組でもエピソードが違うと、同じ役者が悪のボスを演じるなんてことはないだろう。少なくても、今の常識ではそうだ。だが、ハリマオ当時は、そうじゃなかったんだね。
いい役者であれば、役柄を変えて何度もレギュラーとして登場してくる。
未確認だが、ハリマオの中では、別エピソードでハリマオの味方側の役としても登場してたそうな。もちろんそれまでとは別の役で。
このハリマオでの悪のボス役がまた、実によくハマっている。
海賊の親分役での彼は、「ひょこりひょうたん島」の海賊トラヒゲに似ており(笑)、好演。
その後、別の番組で、正義側についた優しいおじちゃん役を演じることになるだなんて、思ってもいなかっただろうなあ。
そこに優しい白影おじちゃんの面影はない。憎々しい(?)悪役だが、でもどこかに愛嬌もあった。その愛嬌こそが、彼の持ち味だった気がする。
で、その愛嬌が白影に繋がったのかもしれない。悪役がハマっていた牧さんが、赤影では一転優しい正義の味方になったのだ。
そういう意味では、白影役というのは牧さんにとっても大きな意味をもつ役柄だったのではないだろうか。
巷では、正義役としては「隠密剣士」での「霧の遁兵衛」役のイメージも強いみたいだが。
彼の演じる悪役は味があった。
でも、赤影で白影を演じる彼の暖かい演技っぷりもまた味わい深かった。
そういう意味では、いい役者だったんだよね~。
悪役を演じるにせよ、正義の役を演じるにせよ、子供たちの間ではお馴染みの役者さんだった。
「あ、この人、また出てる!」って感じで、子供たちから親近感をもたれていたことだろう。
私はハリマオも隠密剣士もリアルタイム放送での記憶はほとんどない。
厳密に言うと、ハリマオを見た記憶は全くないが、隠密剣士の記憶は、かすかにあるような気がする・・というのが実際のところだ。
とりあえず主題歌は知ってるくらいだから、番組の存在は知っていた。でも、幼すぎて、覚えていない。
だが、牧冬吉さんが親しみの持てる良い役者であったのは覚えている。好きだった。
なんか、リアルで牧さんに会ったことがある人の話をどこかで読んだことがある。
リアルでの牧さんはとても気さくで良い人だった・・という感想だったような気がする。
よかった・・やっぱり、白影のおじさんはリアルでも「やさしいおじさん」だったんだね。
見た目の印象通りの人だったんだね。
ともあれ、牧さんは、白影にせよ、河童の三平での六兵衛役にせよ、いつも人間味にあふれて、暖かく、優しかった。そんなオーラがにじみ出ていた。
ハリマオでのハードボイルドなギャングのボス役、海賊のボス役での悪役ぶりを見ると、牧さんの違った魅力が見えてくる。
で、結局行き着く先は・・・やっぱ、牧さんは得難い良い役者さんだったんだなあという結論である。
彼は1998年に67歳で亡くなっている。亡くなるにはまだ早かったよね・・。悲しいし、寂しいよ。
飛騨の忍者・白影こと、牧冬吉さん。
あの暖かさは、忘れませんよ。 ずっと・・。
牧冬吉さんといえばあの白影のおじさん役が本当に良かったですね。正義の忍者役としては石森章太郎先生の『変身忍者 嵐』のタツマキ役での御出演もありました。晩年は渡辺謙さん若村麻由美さん岸田今日子さんと共演の『御家人 斬九郎』。
さて悪役でのお仕事ですが私が学生時代にビデオの上映会にて『新少年ジェット』の「金獅子仮面」のエピソードを観たのですが牧さんが悪い博士の役で御出演でした。
スポーツ万能の方だったらしく『赤影』では凧に乗るだけでなく水に潜ったりあるいは馬に乗って走ったり(凄く危険な撮影だったそうです)体をはった御活躍でしたね。
ちなみに『仮面の忍者 赤影』は当時に関わった人達の間では本当に皆さん愛着と情熱を力の限りぶつけた作品だったとのことです。(^-^)/
「御家人」は、私は知りませんでした…。
私の持ってる「ハリマオ」のDVDでは、悪役のボス役もこなしてます。
悪役から正義まで、幅広く活躍されてたんですね。
スポーツ万能だったんですか。ならば、ヒーロードラマはピッタリだったんでしょうね。
正義を演じる時の、あの暖かさが好きでした。
赤影は、特撮ドラマ史上に残る傑作だったと思います。
なんでもありの楽しさもありました。