KPR(金長ぽんぽこラン)

金長たぬき公園周辺をランニングする仲間のちょっと道草、つぶやき、ささやき・・・

超読みきり短編小説「迷える女たち」

2009年01月20日 | 読みきり短編小説
小春日和とは正にこんな日を言うに違いない。
1月半ばと言うのに、天気予報では最高気温が10度を超えると告げていた。

長距離を走ったり山道を走ることはできないけれど
山を歩くなら何とかなるだろう、
次のマラソンに備えて足腰を鍛えておこうって
お達者クラブの仲間が5人、山を歩くために集まった。
朝9時。ゆっくりと歩きだす。さわやかな日差しに風も無い。
馴染みの山だけど、これまで山歩きをしたことはなかった。

徳島でのマラソンふたつってどこか?
徳島マラソンと海部マラソン!
いいや、阿波市民マラソンと勝浦川マラソン。
それが地元の通が走るマラソンやな・・笑い話に花が咲く。

目的地までは程なく到着。
下りは別コースで隣町方面に抜ける。
しばらくはなだらかな稜線だったが、

「あれっ、この道 違うみたい?」
先頭を歩く友が急に声を荒げた。
「なんで、お日様からいうと、ちゃんと東に歩いとるよ」
「でも、この先に何も無い」
「えっ」

それまでの賑やかな話し声がすっと木々に吸い込まれ静寂に包まれた。
ハイキング気分での軽装備。食料も持っていない。
かろうじて水分は各自ペットボトル1本のスポーツドリンクを持つのみ。

それからあちらこちらへと木々の揺れに任せるように
私たちは道を求めてさまようことになった。
途中、携帯電話を持っていることを思い出し
バックから取り出したが、「えっ、圏外」
他の仲間の余計な不安感を駆り立てたくなかったが
それよりも自分の不安が強まり「携帯が通じない・・」とつぶやいてしまった。

家族が心配しているかもしれない
捜索願いを出すだろうか
ヘリコプターでの救助隊が見つけてくれるかもしれない
とにかく生き延びなければ・・

どれほど時間が経っただろうか・・・
足もつかれ、空腹を意識し始めた。
「引き返してみよう」
前進するだけが突破口ではないはず。
そう、仲間がいる。
知恵を出し合って、今来た道を戻ってみよう。

そう思ってから力が沸いた。

神の救いか、思いが通じたか、
見覚えのある時点まで
なんとかたどり着けた。
安堵感で足がすくんだ。

「えっ、遭難?それって日の峰?小松島の?あの、ここから見える?」

「う~ん、そうな ん よ。遭難したら恥ずかしかったわな。」

「20分で登って、日の峰を3時間歩きまわっとったん?」

「まあ、戻ってこれたし・・・誰にも言わんといてよ。携帯も通じんのはちょっとの間だけやったみたい」

ってことなんで、お達者クラブの面子のためにも禁口外
お願い申し上げます。

教訓:山をなめたらあかんぜよ

この物語は実際にあったかもしれない話をモデルに
創作したフィクションであり、登場人物は架空です。
はい。お後がよろしいようで・・・

3 コメント

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ガーミン買うべし! (Mr.Slim)
2009-01-29 01:55:06
私も八万から動物園に山越えしようとして道に迷った際、ガーミンのBack to Startで助けられたことがあります。知らないコースを走る、歩く、旅する際は、簡単ですが地図の出る205/305がお勧め。
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そうそう、ガーミン、ガーミン (Sally Chan)
2009-01-29 09:25:23
そうきますよね。

お達者クラブにガーミン・・・
ガーミン持参のMr.Slimさんご同伴での遠足ってのが良いと思いますが。
さもないと、ガーミンに迷いそうです。はっ。
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遠足! (Mr.Slim)
2009-01-30 13:31:12
遠足っていうのも良いですね。でもSally Chanとだと、話しに興じすぎて、ガーミンが有っても道を踏みはずすかも。
返信する

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