スクールではジャンプトレーニングも組み込んでいるが、子供達がそのメニューにどれだけの価値を感じて練習しているかは、未だ測ることができない。
ただ、今の私にできることはその身一つで説得力を与えること。
175cmが余裕でリングにぶら下がる姿は、練習への価値を与えるに等しいだろう。
もちろん、世界には160cm代でダンクができる人もいる訳で、そんな極めた者たちと比べてしまえば、私は小さな存在。
しかしその事実があったとしても、この地域に、ここまで身体の使い方を磨いた者は私が1番だと誇りを持てる。
もし私が小、中学生だったとして、目の前でリングにぶら下がる姿を見た時、夢は広がると思うのだ。
やっぱりそれが若者のアドバンテージだ。
私は若いから、まだ成長できる。
彼らが同じように努力するなら、私も同じように戦う。
高校にいたるまでリングに触ったこともない私が、今こうして楽々とぶら下がるまでに至る。
「自分の背中で夢を与えたい」
ただそれだけがもたらした進化だった。
今から丁度一年前、掴んだリングから落ちて肘を脱臼したこともあったが…
身の程知らずで、ダサい姿を見せた一年前から、またここへ、かっこいい姿が戻ってきた。
(みんながかっこいいと思っているのかはわからないが…)
少なくとも、私は私に誇れる姿へと近づいている。
「背中で見せる」という理念が私の指導の根っこ。
あの日の脱臼も今日のためにあった。
見本をしていると、シュートをエアボールすることもある。
カッコつけてディープスリーを打って外れることもある。
でも、シュートを外してダサい自分と、決めてかっこいい自分の2つの未来があるなら、私はこれからも打つ方を選択する。
芸術家、岡本太郎はこんな言葉を述べた。
「迷ったら困難な方を選べ」
今の私にとって最も困難な挑戦…
ダンクシュートにチャレンジしようと思う。