「デジタル化する新興国」
伊藤亜聖著、中公新書、2020年10月
新興国のデジタル化の現状レポートに著書の考察を加えた本。
一番感嘆したのは本書の構成で、
6つの章が各3節ずつ、各節の項は2~3ページと規則正しく構成されています。
序章では新興国の事例、各章の概要、新興国の対象範囲など本書を読み進めていくうえでの前提がまとめられていてます。
文章でも「第一に~、第二に~、第三に~」などと3つに分けて説明されている箇所が多く、理解しやすいです。
第1章でデジタル化、新興国それぞれの現在地について共有しています。
第2章には新興国のデジタル化の事例か多数掲載されています。
マレーシアのライドシェアサービス、グラブは日経新聞などでも見かけます。
第3章では新興国が先進国を飛び越えて発展する現象が起きる理由について。
「イノベーションのジレンマ」という言葉も出てきますが、
新しいことを取り入れる動機が、現状に満足だと弱く、不満だと強くなるのは個人も企業も国家も同じようです。
第4章はデジタル化の進展で生じる問題について。
やはり雇用の減少に関して触れられています。
大雑把に言えば、雇用は減らないが賃金は下がりそう。
第5章は個人情報と利便性、フェイクニュースと広告収入など。
個人情報と利便性は難しい問題ですね。
個人情報を収集することで行政サービスを迅速に効率的に行うことができますが、
個人情報を収集されるのがイヤだという人が一定層いますし。
個人情報を把握せずにサービスを行おうとすると、給付金不正受給のような事件がおきます。
自分はある程度個人情報を出すのは構わず、程度や使われ方については監視が必要と考えます。
第6章はまとめと、コロナでデジタル化の加速が想定される状況における日本の役割。
自分もブログを更新し、皆さんのブログを見る頻度が増えました。
これもコロナによるデジタル化加速の現象の一つと言っても過言ではありません。
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