
「紙の月」
角田光代著、ハルキ文庫、2014年9月
郊外に暮らす生真面目な専業主婦である梨花が、
銀行で働き始め、若い男に貢ぎ、
結果的に1億円を横領してしまうまでを描いた小説。
大半は梨花の視点で描かれていますが、
ところどころ学生時代の同級生、元彼、料理教室の友人の視点で描かれており、
最後も料理教室の友人の視点で終わります。
この構成によって、梨花の人格、犯罪心理、感情の揺れ動きや、
周りの人たちにもそれぞれの形で宿るお金への執着が浮き彫りにされているように感じました。
程度の差こそあれ、普段は節約しているのに時々パッと散財してしまい、
あとから「使いすぎてしまった」と思うことは自分もあります。
以前レビューを書いた行動経済学の本「予想どおりに不合理」を思い出しました。
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