今回も社会党の福岡委員からの質問になります。
国鉄再建委員会の決議がきちんと行われていないことに対してかなり怒りの矛先を向けているようです。
> 第八十二回国会の本委員会で国鉄の再建に対して決議か確認か知りませんが、国鉄の基本方向ということでやられております。これをいろいろ読んでみますと、書いてあることが実際に実行されていない。大臣は先ほどおっしゃったようなことを言われますけれども、実際にそれがやられておれば今日の状態はなかったのですね。やられてなかった。今度法案を出されたのですけれども、本当にやる気があるのかどうか、私どもは非常に半信半疑であります。労使が協力をしてやらなければならぬことは、お話を聞いたとおりで、私も同感でございます。しかし、いまのような状態で、あるいは今日までのような状況下で、国鉄の職員はもちろんですが、国鉄を預かっておる総裁以下役員、まあ管理者も、ふるい立って情熱を燃やして国鉄の再建のためにやっていこうという、あるいは社会的な使命感を強く感じて、生きがいを感じて仕事ができるような環境にあったかどうかということなんですね。
この辺は、葛西氏が書かれていましたが、再建のための再建案を書かれていることが多くて、実際には実行していない、出来ないからまた机上のプランだけが描かれているといったことが書かれていた記憶があります。
> 合理化に次いで合理化である。予算は圧縮される。設備投資はない。一体、交通分野における国鉄の使命というのは何か、国鉄が受け持つべき分野はどこなのかというようなことが明らかにされないで、労使協力してやれと言われましても、情熱はわきませんよ。
この辺は、今も同じかもしれません。
JRの場合、公共性を謳いながら、並行在来線の廃止などを行うことで、ネットワークの分断と言った新たな問題などは無視するという点に大きな問題があるかと思うのですが、その辺が完全にスルーになっています。
今読み返してみても、これが30年前に議論されていたことかと改めて驚かされるものであり、逆説的に言えば結局何も進化していなかったのではないかと思ってしまいます。
以下は、国会審議の本文になります。
○福岡委員 お話はわかるのですけれども、いままでやってこられなかったのですね。先ほど来申し上げておりますように、十年余りかかって、六回もいろいろと対策を立てられたけれども、それが実行されておれば問題なかった。もっとも間違った運賃値上げなどは別でありますけれども。五十二年十月二十八日、第八十二回国会の本委員会で国鉄の再建に対して決議か確認か知りませんが、国鉄の基本方向ということでやられております。これをいろいろ読んでみますと、書いてあることが実際に実行されていない。大臣は先ほどおっしゃったようなことを言われますけれども、実際にそれがやられておれば今日の状態はなかったのですね。やられてなかった。今度法案を出されたのですけれども、本当にやる気があるのかどうか、私どもは非常に半信半疑であります。労使が協力をしてやらなければならぬことは、お話を聞いたとおりで、私も同感でございます。しかし、いまのような状態で、あるいは今日までのような状況下で、国鉄の職員はもちろんですが、国鉄を預かっておる総裁以下役員、まあ管理者も、ふるい立って情熱を燃やして国鉄の再建のためにやっていこうという、あるいは社会的な使命感を強く感じて、生きがいを感じて仕事ができるような環境にあったかどうかということなんですね。国鉄は斜陽である、自動車はどんどん伸びていくけれども、国鉄の利用客は減っていく。合理化に次いで合理化である。予算は圧縮される。設備投資はない。一体、交通分野における国鉄の使命というのは何か、国鉄が受け持つべき分野はどこなのかというようなことが明らかにされないで、労使協力してやれと言われましても、情熱はわきませんよ。先ほど来言っておりますように、いろいろ時代が変わってきたことは認める、しかし、それに対応する政策があれば国鉄は今日のような落ち込んだ状態にはなっていないということを申し上げておるのもそこに理由がある。あとでまた逐一触れていきますけれども、この法案の中で国鉄はかくあるのだと確かに文章には書いてある。都市間輸送あるいは大都市圏の輸送、定型大量の貨物の輸送というように書いてはあるけれども、本当にそれが実行できるような施策が伴っておるかというと、いままで十年も伴ってないわけですから、この法案が通ったからといって急激に変わるというようなことは期待できないというのが、正直に申し上げまして私どもの実感なんであります。労使が協力をして、私どももそのことは否定しませんが、職員や経営者が情熱を燃やすような、そういう条件をつくるのが交通政策じゃないですか。どうでしょうか。
○塩川国務大臣 おっしゃるように、再建へ意欲を燃やすような、そういう面における積極投資、これは再建の一つの大きいかぎになる、私もそう認識しております。先ほども申しましたように、国鉄が以前から計画しておりました新幹線の延長なり、あるいは地方開発のために引いてまいりました新線工事等もここでほぼ一段落つき、あとは整備五線の財源と合わせて建設ということになってまいりますが、そのように国鉄自身が計画してまいりました大きい工事が一段落ついてくる、ここ数年でその時期が来るであろうと思いますが、そういたしますと、いままで投資してまいりました投資額というものをさらに増額し、その分を合わせておっしゃるような、そういう鉄道の特性を発揮する部門に集中的に投資していくことが再建への一つの大きいきっかけになってくる、それはもう私もそのとおり思うております。
○福岡委員 国鉄の投資は、この再建案の基礎になっております去年の閣議の確認は、現在程度、こう書いてある。極力抑えて現行程度を超えないというように書いてあるのですが、これでは機能回復はできないと私は思うのです。くどいようでありますが、何よりも私どもが一番得心できない点は、国鉄の事業分野というのはわかりやすく言えば一体どのくらいあるのか。都市間輸送、大都市圏の輸送、貨物輸送、こういろいろ書いてあるけれども、国鉄の分野はそれによって計算するとどうなるのか。これが国鉄の将来の営業の基盤ですよと得心するものがぴしっと出れば、よしやろう、政府も投資をしてくれるそうだ、それで職員にも情熱がわいてくると思うのですが、残念ながらそれがない。
そこで、その点について少し細かくお尋ねしてみたいのでありますが、日本の交通機関別シェアですね。これは申し上げるまでもなく専門家の皆さんでありますから御承知のところなんでありますが、念のために申し上げますと、陸運統計要覧で拾った数字なんでありますが、国鉄の旅客の関係で言いますと、昭和三十五年に国鉄は五一%だったのです。それがだんだん下降線をたどりまして、昭和五十四年度実績では二五%になっております。約半分ですね、五〇%に落ち込んでおるのであります。民鉄も落ち込みまして、昭和三十五年に二五%であったものが一五%になっておる。これは昭和三十五年に対しまして昭和五十四年の実績は六〇%に落ち込んでおるのであります。バスの方はどうなっておるかといいますと、三十五年に一八%であったのがこれも一四%に落ちておるわけであります。七七%に落ちておる計算になります。乗用車の方はどうかといいますと、三十五年に五%だったのが五十四年には四一%、実に八倍になっておるのであります。飛行機の方も三十五年に一%であったのが五十四年には四%に、約四倍になっておるわけであります。貨物の方も、国鉄が三十五年に三九%であったものが五十四年には一〇%に落ちておるわけであります。恐らく五十五年度も大同小異じゃないかと思います。トラックはどうかといいますと、営業車の方が三十五年に七%だったのが二二%になっておりまして、これは約三倍であります。自家用車の方は三十五年に八%だったのが五十四年には一七%、二倍強になっておるわけであります。内航の方、船の方を御参考までに申し上げますと、三十五年に四五%だったのが五十四年には四九%でありますからわずかにふえている、こういうことになっております。
この推移は、きょうは余り議論しなくてもいいと思うのでありますが、お尋ねしたいのは、申し上げましたような現在の輸送機関別シェアというものがこうなっておる、これは理想形態であるの
かどうか、問題があるとすればどこにあるのか、どうしようとしておるのか、その辺を少し大臣、方針上の問題としてお聞かせいただきたいと思うのであります。
○塩川国務大臣 統計から出てまいりますシェアは、仰せのとおりでございます。
このように変わってまいりました根本は何かと申しますと、やはりモータリゼーションの進行と、それから産業構造の変化というものも大きい理由であったと思っております。しかし、私は、だからといって国鉄は決して斜陽のものではないと思っております。これからのエネルギー事情を考え、あるいはまた人口のふえてまいりますその分が地方に張りついてまいりました。そういうこれからの日本列島の構造的な変化というもの、そして地域開発というものを見てまいりましていろいろ総合してまいりますと、国鉄がここで再建のきっかけをつかみ、立ち直っていくならば、必ず国の基幹交通機関として生き返ってくる、このシェアも必ず返ってくると、私はそれを信じております。
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