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第三章 分割・民営化攻撃の本格化と国労闘争
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第七節 国労攻撃の本格化と国労の反撃
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すでに、第一章、第二章で述べたように、国労への攻撃は、1982(昭和52)年7月30日の臨調基本答申=国鉄「分割・民営化」答申とその閣議決定(9月24日)以降、いよいよ本格化していった。とくに中央段階では、82年11月のダイア改正問題、現場協議協約改定問題などで、これまでの労使慣行を決定的に転換し、動労と全施労と?先行妥結?し、その結果を国労に押しつけようとする当局の労使関係政策の抜本的転換が行われ、国鉄労働組合に真っ向から対峙する方針に転換した。それはやがて、鉄労、動労などとの「労使共同宣言」の締結に至る労使関係政策であり、国労にも、「雇用安定」と引き換えに、「労使共同宣言」締結を迫る政策・路線への転換でもあった。こうした既存の労使
慣行の転換、労使関係における差別取り扱いが、中央だけでなく、地方レベルでも進展していった。
他方、労使関係政策の抜本的転換と並んで、絶対に見過ごすことのできない事態は、職場規律の確立の名による国労および国労組合員攻撃の激化、本格化であった。それは結局、現場協議協約の破棄に至るのであるが、洗身(入浴)慣行の破棄を初め、あらゆる問題にわたっている。すでにこれまで述べた具体的問題を除き、以下に、その職場での攻撃を中心として、生じた事態を例示的に述べる。
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├○ 一 国鉄当局の「職場総点検」運動と国労の対応 │
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1982年3月以降、八次にわたる「職場総点検」と称する攻撃は、これまで職場協議制によって確立・運用されてきた職場慣行を一切無視し、「現協は元凶」「ヤミ慣行・ヤミ協定」「悪慣行」「職場規律の乱れ」と決めつけて、これを一方的に破棄し、それをつうじ、職場の専制的支配を確立することが狙いであった。「職場総点検」の細目を見ると、たとえば、従来国鉄当局が職場労務管理の必要性から実施してきた花見、職場旅行、各支区対抗の野球大会、ハイキング等で使われた「マル扱い(出勤扱いとする休暇)」も「ヤミ休暇」として処理されることになるといったように、きわめて不当なものであった。
『国鉄監査報告書』(1986年8月)は、85年9月に実施した第八次「職場総点検」のもつ意義に触れて、「新経営形態移行を目前に控え、これまでの総点検の締めくくりの意識を管理者にもたせ、未是正項目等の問題点については、残された問題がないように完全に把握するとともに、速やかに是正措置を講じ、今後問題が生じないように責任をもって悪慣行等職場規律の乱れを一掃すべく取り組んだ」と指摘し、さらに、「職場規律は大勢としては改善されてきているが、職場規律の確立は十分に定着してきているとは言い難い。これらの問題を完全に是正するためには、職員一人ひとりの意識・意欲の向上を図っていくことが最大かつ喫緊の課題である」と指摘していた。この「職員一人ひとりの意識・意欲の向上を図っていく」という指摘は、職員管理調書、企業人教育、増収活動、小集団活動などを念頭に置いていた。国鉄の「分割・民営化」を目前とした緊迫した時期に、JRに残れるかどうかについて職員が抱いていた不安感を一層あおることが狙いであった。実際、現場長又は助役は、職員一人ひとりを個別に呼出して、挑発又は恫渇とも言えるような一連の質問を浴びせ、しかも、テープレコーダ、カメラ等まで配置して、職員がこれら一連の質問にどう返答するかを聴取・観察した。
職場長からの質問は、国労が反対の意志を表明している氏名札着用の強制、政府の国鉄「分割・民営化」方針、小集団活動や増収活動等に関するものであった。つまり、これらの質問は、「国労バッジや国労ワッペンをはずせ」「氏名札を付けよ」「国鉄の分割・民営化政策を容認せよ」「立って呼名点呼を受けよ」「当局主催のスポーツ大会や学習サークルに参加せよ」「出向・派遣・直売点に行け」「声出し運動や増収活動をせよ」等というような、職場における労使対決の焦点となっている事柄を取りあげて、職員の信条や思想、生き方を聴取すると同時に、国労本部の指導と本人の意志に反して、現場長の指示に従うことを強制するものであった。
「個別管理の徹底」は、職場における組合活動への露骨な支配介入であり、不当労働行為であった。現場管理者による質問は、「言うことに従うならば、JR社への雇用を継続させてやっても良い」という利益誘導を行ないながら、国労組合員に組合方針への離反と国労からの脱退を強要する不当労働行為であった。「進路アンケ-ト調査」の実施過程でなされた職場管理者の発言は、「雇用安定協約も切れて君はどうするのか、抵抗ばかりしていると今に見ていろ。それなりの措置をしてやる。」「分割民営化後どうするのか、他へ行く希望は。君はスマ-トなので喫茶店が向いている。」「ワッペン等当局に従わないと民営化後新会社へは行けない。」「民営化移行時に全員解雇状態になる。役員をしてたらためにならん。仕事だけ出来ても駄目で、人より積極的に行動しなければいけない。」「分割・民営化で残れるよう意識を変えろ。出向は今なら当局が世話するが、時期を越せば本人が探すことになる。今後は大変厳しくなるので、その覚悟をしておけ。今から選別を開始しなければならない」(「労務管理に関する調査結果」『国労文化』(1987年月)といったものであり、それらは全面的に、国労運働をとくに嫌った露骨な恫喝であった。
国労は、「進路アンケ-ト」実施に対して非協力の方針を採った。
国労の基本的な立場は、職場における「労働条件に係わるものは、団体交渉で決める」「『正すべきものは正す』という立場」であり、「一方的に当局の考えを押し付けることでは、問題は解決しない」というものであった。国労組合員の多くが「進路アンケ-ト調査」に白紙か未提出という形で応じた。こうした組合員の対応に対し、国鉄当局は「個人の意思で行なったのか、組合の指導によるのか」を質し、「白紙のものは旧国鉄に行くことになる」として、「未記入者の意志確認を実施する」という方針を取った。
国労東京地本は、1986年5月に総評弁護団、自由法曹団、社会文化法律センタ-に所属する弁護士165名に対し、東京南部鉄道管理局、東京北鉄道管理局、東京西鉄道管理局、新幹線総局管内の職場131箇所における職場実態調査を依頼した。弁護士による聞き取り調査によって、要員削減の実態、強権的労務管理の実態、組合否認・不当労働行為の実態など、職場における労働者の人権侵害が明らかにされた。(国鉄職場実態弁護士調査団編『国鉄職場実態調査報告書』、1986年6月)。
続く
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