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第三章 分割・民営化攻撃の本格化と国労闘争
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第五節 労使共同宣言と国鉄内労組の再編
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├○ 四 広域移動の強行 │
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杉浦国鉄総裁は86年2月13日、「労使共同宣言」を締結した動労、鉄労、全施労の三組合のトップと会談し、北海道や九州から本州への広域配転の必要性について、三組合と基本的に意見が一致したと発表した。
再建監理委員会の答申どおりに分割・民営化を実施するとすれば、余剰人員は北海道の場合、2人に1人、九州は3人に1人となる。ところが、本州では6人に1人であり、地域的にアンバランスとなる。しかるに、再就職先は北海道や九州に少なく、本州に多い。このため、国鉄当局は職員の「振り分け」問題が具体化する以前に、北海道や九州から本州に相当数の職員を配転する意向を固め、規模や方法等について検討を始めていた、と報じられていた。国鉄当局は3月4日、分割・民営への移行により大量の余剰人員が生じることになる北海道、九州地区から3400人を目標とした異動者を募り、東京、大阪、名古屋地区へ異動させるという「広域異動の実施について」を各組合に提示した。当局は、この「広域異動」も「通常の異動」であり、管理運営事項であるとの姿勢をくずさなかった。労働条件をめぐる団体交渉についても、「組合側から具体的な提起があれば、団交に応じるか否かを判断し、団交事項たりうれば交渉していきたい」というもので、当局側から労働条件についてはなんら具体的な提起はなかった。また、募集の開始については「交渉の進展いかんにかかわらず、3月20日に開始したい」との態度であった。
当局の説明によると、①異動規模は第一陣として、北海道から東京、名古屋地域を中心に約2500人、九州から大阪地域を中心に約900人の計約3400人、②希望者募集は3月20日から一カ月間行い、「条件の整ったものから逐次異動」し、7月目途に完了、③「異動者の決定にあたっては勤務成績等を勘案」、④「将来の配属に際しての希望は、可能な限り優先的に配慮する」⑤異動先では本務グループに編入する、などというもので、配属先職場でも雇用不安を増幅させる内容であった。
国労は、こうした問題点の多い「広域異動」について労使交渉を経ないで一方的に実施することは認められないという立場から、国労闘申第39号を申し入れて、①配転の系統別、職名別、地区別の人数、②配転対象者の選任基準、③配転先での労働条件、④配転実施に伴う労働条件、⑤募集手続き、⑥受け入れ側の労働条件、を提起し「団交で解決する用意があるか否か」の文書回答を求めた。
しかし、当局の回答は3月4日の説明資料となんら変わらない内容だったため、国労は当局の団交応諾義務を求める仮処分申請を東京地裁におこなった。国労は、交渉の進展いかんにかかわらず3月20日から募集を開始するという当局の姿勢をふまえて、3月14日に闘申第42号を提出し具体的な要求を申し入れた。そして19日深夜まで交渉を続けたが、当局は「計画実施」そのものは管理運営事項との態度を変えないまま、20日の募集を開始した。こうした事態となったため国労は、地裁への仮処分申請は実効がないと判断し、取り下げを決めた。
募集が開始されたため、強制・強要に対する職場の監視体制を徹底し、個々の強制・強要には個別の仮処分申請または人権擁護委員会への提訴などの検討を指示した。募集開始後も交渉を継続したが、労使の主張は大きく対立したままであった。国労は4月1日、公労委に対し調停申請を行った。申請内容は、①異動者の決定にあたり、勤務成績等を勘案することはやめること、②異動者の受け入れ側においては、受け入れ側職員と異動者とは同一条件として、受け入れに伴う強制配転は行わないこと、③広域異動について地方での協議ルールを確立すること、の三点であった。
調停作業は難航し、4月10日に調停委員長から勧告案が提示された。国労は受諾するとの回答をしたが、当局は「全面的に受け入れることができない」と拒否したため、調停打ち切りとなった。
この結果、問題を解決することができなかった。
当局の広域配転者募集の一方的実施に抗議する全国中央行動が3月27、28の両日、東京で取り組まれた。27日には全国会議員への要請行動が行われ、夕方からは日比谷野外音楽堂での総決起集会が開かれた。28日の本社前抗議集会には2000人が参加し、そのあと都内12駅頭でのチラシ配布、この間地方代表者が労働省・運輸省・雇用対策本部と交渉した。この一連の行動には全国から3300人の組合員が上京し、参加した。
広域異動者募集の過程で、北海道や九州の職場では、管理者による強制・強要がまかりとおっていた。たとえば、点呼時の説明のあと個々の職員を呼びつけ、断ると業務命令で説明を受けさせていたり、説明のあと「募集に応じたくない」との意思表明をした職員に対し、管理者が「あすから連日説得する。行くとの答えを待っている」と言ったりした。国労は、こういった事例で当局を追及したが、当局側は「行かなければ処分するといえば強制・強要になる」「個人を呼んで説明するのは日常の職場管理のうち」などと答えた。国労側は、このような不誠実な回答に対し「強制・強要はしないという当局の説明に明らかに反している」と強く抗議した。その結果「行くという答えを待っている」について「事実であれば説明の範疇をこえる。指摘してもらえば地方を指導する」ことを約束した。
4月8日に当局は、国労に対して「広域異動」の募集目標3400人を達成する状況になっていないとし、募集対象地域を北海道、九州に加えて、盛岡、秋田、新潟、長野、福知山、米子、四国に拡大し、北海道、九州では募集期間を5月9日まで延長するとともに、新たな拡大地域では4月17日から5月9日までの募集期間とする、と提案してきた。この修正提案の時点で北海道、九州の両地区で目標の4割程であり、このままでは目標数に届かない見通しが強まったための修正提案であった。募集追加地域の目標は1000人程度とし、その分、北海道、九州での目標数を減らした。5月9日の募集締め切りまでに応募した総数は3515人であった。組合別では、国労803人、全動労3人、動労2090人、鉄労304人、全施労5人、その他310人となった。異動の発令は5月1日付で第一陣276人に対して行われ、以後順次実施されていった。
続く
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