国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

国鉄労働組合史 192

2011-06-07 10:00:00 | 国鉄労働組合史
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第四章 JR体制への移行と国労の闘い

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第一節 国鉄分割・民営化関連法の成立と新会社への移行準備
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├○三 新会社の設立と国鉄清算事業団│
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 新会社への採用基準と採用人数の決定

国労は、12月11日の第1回設立委員会で検討された労働条件の基本的な考え方と決定された採用基準について、同日「見解」を発表し、
①とくに賃金低下など将来の生活に対する不安が加わることがないないこと、
②採用基準についても国会で論議された〝一人も路頭に迷わせない?〝選別・差別は行わない?が具体的に運用されること等を強く要望し、
③国労は全力をあげてこれら要望の実現をめざすことを表明した。

さらに同月15日には、杉浦国鉄総裁を通じて設立委員会に「新会社の採用基準と労働条件の決定にあたっての要請」を提出したが、その骨子は、
①業務上災害に起因する「身障者」に特段の配慮をされたい、
②振り分けでは勤務成績優先でなく職員の生活状況を優先されたい、
③労働処分に類するものを採用基準の対象としないようにされたい、
④労働条件決定にあたっては現在の国鉄事業と私鉄事業との差異を十分尊重されたい、
⑤諸手当の大幅な変更をしないようにされたい、
⑥定年制は60歳とし採用年齢を55歳未満に限定しないよう配慮されたい、
などを要請するものであった。

 配属先希望調査とその結果

 12月19日の第2回設立委員会では、労働時間・年次有給休暇・賃金・諸手当・定年・退職手当・退職などの新事業体の労働条件が具体的に決定された(その具体的内容については第6節1参照)。
また、翌20日には国鉄当局が、国労本部に①承継法人の職員となることに関する意思確認等の実施方、②日本国有鉄道清算事業団における勤務希望調査、③特別給付金の支給を受けて国鉄を退職することを希望する職員の第三次募集期間(最終)、④清算事業団に所属する職員の賃金等の取扱い、などについて資料を提示して説明し、22日以降は各地方においても説明が行われた。そして24日からは、設立委員会の決定にもとづく職員に対する「配属先希望調査表」(意思確認書)の配布が国鉄当局の手によって始まった(提出期限は翌87年1月7日)。この時点で調査対象者は24万人とみられた。
 国労本部は、この国鉄当局による配属先希望調査について22日付けの闘争指令第5号「国労組合員の選別・差別、一人の首切りも許さない闘いの展開について」を発し、各職場における①コピー等による全組合員の意思確認書の完全掌握など希望調査についての取り組み、②不当労働行為・人権侵害などへの点検体制確立、③調査期間中の世話役活動の徹底など第一志望を実現させるための取り組み、を指令した。
 明けて1987(昭和62)年1月28日、当局は配属先希望調査(意思確認)の集計結果を組合側に説明した。それによると、その概要は次のようになっていた。なお、国労は事業体別の「第一希望」の数を明らかにするよう求めたが、当局側は「名簿登載にかかわるので説明できない」とした。
 ① 前年12月1日現在の職員数は26万7600人、うち採用条件に合致する23万0400人に「意思確認書」を交付し、22万7600人分を回収した。
 ② 清算事業団を除く新会社への希望者は21万9340人となった。
 ③ 広域採用については現在、本人の希望を踏まえつつ名簿作成中だが、北海道、九州から数百人と想定される。
 ④ 希望退職応募者数は、2万人を大きく越えて1月18日現在で3万1476人となった。
 ⑤ 「人材活用センター」(約1440カ所に約2万1000人が所属)については3月上旬に解散する。
 国労はこの希望調査結果について同日、「就職希望者数が『基本計画』に基づく採用総数からみてトータルで当初計画を大幅に下回る結果となったが、その要因は希望退職者数が当初予定を大幅に上回ったことにあると考えられ、これは当局が国労敵視の労務政策をとり、いたずらに雇用不安をかきたてた結果にほかならない」との見解を明らかにした。また国鉄総裁は、2月2日の定例記者会見で「第一希望が採用枠を下回っているとみられる本州・四国の4旅客会社と貨物会社については全員採用」との見通しを示唆した。そして2月8日、国鉄当局は新しく発足する新事業体ごとの「採用候補者名簿」をまとめ、設立委員会に提出した。

続く

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