国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

参議員-運輸委員会-2号 昭和五十五年十月十六日 第22話

2017-02-15 12:25:23 | 国鉄関連_国会審議
画像 Wikipediaから引用

皆様こんにちは、本日も地味に更新させていただこうと思います。
本日も、鉄建公団が昭和58年頃に組織として廃止統合されることについてどのように考えているのかと質問がなされています。
鉄建公団は、実質的にほんの2003年まで旧国鉄(清算事業団を吸収する形で存続し、現在は「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」として「鉄道の建設等に関する業務及び鉄道事業者、海上運送事業者等による運輸施設の整備を促進するための助成その他の支援に関する業務を総合的かつ効率的に行う」ことを目的にして現在に至っています。
しかし、当時はそうした方針がまだ決まっていなかった、(建設途上のローカル線はその建設が凍結され、一部が第3セクター鉄道などで建設されることが決まったためその建設のために存続していった経緯はありますが、当時は本当に先行き真っ暗…そんな状況であったことが、下記の日本社会党広田幸一議員の質問等で伺えます。

>まず最初に、鉄建公団が整理されることについて、山地進鉄道監督局長に質問しています。
「運輸省にお尋ねしますが、これは昨年の十二月二十八日の閣議決定で、「昭和五十五年度以降の行政改革計画(その一)の実施」ということで出ておりまして、特殊法人の整理合理化、その中に「日本鉄道建設公団については、上越新幹線及び青函トンネルの本体工事が完了した時点(昭和五十八年度)において、他との統合等を図る。」

このことに対して大臣に念押しをしているのですが、統合することは考えているがその具体案は出てきていないということで、「いろいろと今後検討の余地がある、選択の余地もあるというふうに考え、各方面とも御相談をして最善の道を選びたいと、かように考えております。」と言う言い方で明言を避けていますが、その方針はまだ具体的に決まっていなかったのではないかと言うことが伺われます。

さらに、ここで、広田幸一議員の質問が続き、日本社会党では当時鉄建公団を設立するのは反対したと言っています。

> 「当時三十九年、私はいろいろ聞いてみますと、あのときはこういうものをつくるべきではなかったというようにわが党等は反対したようであります」

この辺は、今後当時の議事録などを探してみたいと思います。
鉄建公団は、元々は新線建設を輸送力増強に対して後回しにしていたことに対して当時の大蔵大臣であった田中角栄がしびれを切らせて作ったような経緯があります。
実際には、新幹線建設の資金調達で窮地に立った時に救ったのが田中角栄でありその辺をむげに断れなかったという事情も国鉄に有ったかもしれませんが、その後田中角栄は新潟に上越新幹線を敷設させるわけですから、田中角栄の政治力は良くも悪くも強大なものであったことも伺えます。
ちなみに、東北新幹線は国鉄の直営、上越新幹線は鉄建公団が建設しているのもその辺の事情を反映しているかもしれません。

さらに、質問は続き、東北新幹線の建設は、国鉄がしているけれども同じような問題が起こるのではないのかと質問をしており、高木総裁に回答を求めています。

> 「それから、東北新幹線はこれは国鉄がおやりになっておるわけでありますけれども、東北新幹線の場合も、やっぱり大なり小なりこの鉄建公団とは若干違います、内部的に違うと思うんですが、東北新幹線も五十八年ごろにそういう事態が起きてくる可能性があるかと思うんですが、この点についてもやっぱり同じようなことを心配するわけでありますが、この点について国鉄側の御見解をお聞かせいただきたい。」

それに対して、高木総裁は、現在の職員の多くは他の管理局などからの出向も多いので、東北新幹線建設後は地元に戻って在来線の改良工事などに携われたいという発言をされています。
「説明員(高木文雄君) 現在東北新幹線にはかなり多数の職員を振り向けております。そこの職員は非常に気の毒なんですけれども、ほかの地域から一定期間派遣をされておるという職員がかなり大ぜいいるわけでございまして、これが終わりましても私どもとしてはいささか現在、在来線の方のもろもろの改良等の工事が資金的に不足のためにおくれておりますので、東北新幹線が完了いたしました場合には、ぜひいまの資金量を在来線の方の整備拡充に振り向けさしていただきたいと思っておりますから、事業量としては東北新幹線完成後におきましても極度に減るということは予定をいたしておりませんので、私ども職員のいろんな意味での不安定ということは、この工事が終わりましても起こらないものというふうに考えておるわけでございます。」

ということで、鉄建公団についてはその処遇がまだ決まらないが今後検討するという形で質問は終了しています。


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国鉄があった時代 JNR-era

************************以下は本文になります。********************

○広田幸一君 運輸省にお尋ねしますが、これは昨年の十二月二十八日の閣議決定で、「昭和五十五年度以降の行政改革計画(その一)の実施」ということで出ておりまして、特殊法人の整理合理化、その中に「日本鉄道建設公団については、上越新幹線及び青函トンネルの本体工事が完了した時点(昭和五十八年度)において、他との統合等を図る。」と、「統合等を図る」というふうになっておるんでありますがね、これは閣議決定でありますから大臣も御承知になっておるわけでありますね、運輸省としても御承知になっておるわけですが、大体廃止するとかどこかと統合するとかあるいは縮小するとかいうのが一般の場合だと思うんですが、ここに「統合等」と書いてありますのは、やっぱりいま私が言い、総裁の方からもお話があったようないろんないきさつがあって、ここではっきり言えないという事情があって私は「統合等」というこういう表現になっておると思うんであります。
 しかしこれは行政管理庁がそれぞれ調査をして、その資料に基づいて関係各省でいろいろと結論を出されたと思うんですが、運輸省としては、この問題について総裁の方から一つの考え方と要望が出たわけでありますが、運輸省としてどのようにお考えになっておられますか。

○政府委員(山地進君) いま仁杉総裁が言われたとおり、私どもも鉄建公団は優秀な技術集団であるということはよく認識しておる次第でございまして、いまのお話にありましたように「統合等を図る」ということにつきましては、いろいろと今後検討の余地がある、選択の余地もあるというふうに考え、各方面とも御相談をして最善の道を選びたいと、かように考えております。

○広田幸一君 総裁も、昨年不幸にしてあのような事態があってあなたも御苦労で総裁になっておられるわけですけれども、この問題は大きな問題ですからね、総裁のような偉い人はどこかに行くところがあるかもしれませんけれども、当時三十九年、私はいろいろ聞いてみますと、あのときはこういうものをつくるべきではなかったというようにわが党等は反対したようでありますが、それはそれとして現実にこういう事態が出ておるわけでありますから、ひとつ今後の問題として、もう二年、三年と言えばすぐたつわけですから、そういう皆さんのその技術が将来生かされるような方向で連絡をとって、ひとつ十分な努力をしていただくように特に希望しておきたいと思います。
 それから、東北新幹線はこれは国鉄がおやりになっておるわけでありますけれども、東北新幹線の場合も、やっぱり大なり小なりこの鉄建公団とは若干違います、内部的に違うと思うんですが、東北新幹線も五十八年ごろにそういう事態が起きてくる可能性があるかと思うんですが、この点についてもやっぱり同じようなことを心配するわけでありますが、この点について国鉄側の御見解をお聞かせいただきたい。

○説明員(高木文雄君) 現在東北新幹線にはかなり多数の職員を振り向けております。そこの職員は非常に気の毒なんですけれども、ほかの地域から一定期間派遣をされておるという職員がかなり大ぜいいるわけでございまして、これが終わりましても私どもとしてはいささか現在、在来線の方のもろもろの改良等の工事が資金的に不足のためにおくれておりますので、東北新幹線が完了いたしました場合には、ぜひいまの資金量を在来線の方の整備拡充に振り向けさしていただきたいと思っておりますから、事業量としては東北新幹線完成後におきましても極度に減るということは予定をいたしておりませんので、私ども職員のいろんな意味での不安定ということは、この工事が終わりましても起こらないものというふうに考えておるわけでございます。

○広田幸一君 終わります。

○委員長(黒柳明君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十分休憩

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