国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第093回国会 衆議院運輸委員会 第7号 第三二話

2016-03-12 22:17:33 | 国鉄関連_国会審議
再び間が開いてしまいましたが、国会審議の記録について解説を加えながら書いていこうと思います。
どうかしばらくお付き合いくださいませ。
三浦久議員は日本共産党所属の元衆議院議員で、秋田出身でその後三池争議が縁で北九州市に居住していたと記録があります。
今回の質問では、主に国鉄ローカル線と言うよりも貨物輸送について質問が集中的になされています。

特にここで質問の議題に上げている京葉線、現在でこそ主要な通勤路線として位置づけられていますが、昭和50年5月に、蘇我駅~千葉貨物ターミナル駅間が貨物線として開業したローカル路線であり、この審議がなされていた昭和55年当時は本当にローカル線然とした扱いを受けていました。
特に、貨物の輸送密度が四千トン未満に該当するので京葉線は廃止になるのではないかという質問とそれに対する答弁が続きます。
結論から言うと、政府委員の答弁として、旅客輸送と併用の地域での話であり、貨物輸送の場合は除外するという回答を引き出しています。

画像 wikipedia

実際、京葉線は民営化後もその処遇は問題にされたこともあり海底トンネルの可否も含めて検討された時期がありました。
結局旅客線化することで活路を見出すこととなり現在に至るわけですが、もし仮にこれが廃止になっていたりしたら首都圏の交通事情はさらに違ったものになっていたかもしれません。
ここに、みてきますと。

「 営業線の区分については、国鉄が公示している線路名称に定めるところを基本といたしまして、今後政令で区間を決めていきたい、かように考えております。」
と山地政府委員(鉄道監督局長)の答弁に対して

> 京葉線の問題ですけれども、これはどうされるのですか。これは廃止対象路線に入ってしまうのですけれども、もしこれを残すとすればどういう基準で残すのかということを私はちょっと聞きたい。

いきなり、京葉線が廃止になるのかと言う質問をぶつけています。

山路政府委員「 いま先生御指摘のようなことについては、どういうふうな表現をするか、政令で書く段階で検討をしていきたいと、かように考えております。」

> やはりこのいわゆる千葉貨物ターミナルから東京貨物ターミナル、もっと先まで、塩浜操車場まで結ぶようですけれども、いつできるのかということは一つの大きな問題ですね。ということは、一般的に将来の交通需要、いわゆる国鉄に対する需要というものを、いつの年度まで先を見るのかということですね。五年先まで見るのか十年先までなのか、これは乗客の場合も同じことだと思うのです。地域開発の効果というものをいつの時点でとらえるのかということは一番大事な問題ですよ。この京葉線についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。

かなり矢継ぎ早に畳みかけるように質問が続くのですが、それにたいして、山路政府委員からは、貨物のみの鉄道に対しては別の政策を考えていくという答弁をしており、今回の廃止見直しに対して明確に方針が出ているのは旅客営業を行っている路線であることを明言しており、貨物輸送の路線については別途考えていくと明言しています。
まぁ、この辺のやり取りはなかなか見ていても鋭い質問をしているなぁと思わせるものがあります。

山路政府委員「私の理解では、京葉線の蘇我というところまでは貨物だけをやっておるわけでございまして、この法律に言うところの特定地方交通線というのは、旅客営業をやっているものを対象にして、その協議会を開いて転換を図っていくということを考えておりますので、蘇我だけは、いまのところについてだけ申し上げますと、貨物の一般的な、今後伸びるかどうかということは別にいたしますと、いろいろなものについて、貨物だけをやっているものについては貨物の近代化、合理化という観点から別途の政策をとっていかなければいけない線であろうか、かように考えております。」

> 貨物の輸送密度が四千トン未満の路線は廃止対象線区にするのだという基準が出ておりましたけれども、それは貨物と旅客と両方輸送しているという場合に限定されるのであって、貨物の専用線といいますか、専用線という言葉はおかしいが、貨物のいわゆる貨物線、これはもうこの法律から全く除外されるというふうに聞いていいのですか。

山路政府委員「 貨物だけを運送しているものについては貨物の合理化という観点から別途の政策を推進していく、かように考えております。」

以上、概説終わり

画像 wikipedia
***********************************以下本文になります。************************

○山地政府委員 前回はいま先生の御指摘のようなふうに申し上げたわけでございますが、私どもの方でいろいろ検討いたしました結果、営業線の区分については、国鉄が公示している線路名称に定めるところを基本といたしまして、今後政令で区間を決めていきたい、かように考えております。

○三浦(久)委員 そうすると、前回の答弁を御訂正なさるわけですね。その問題はまた後から聞きますが、この京葉線の問題ですけれども、これはどうされるのですか。これは廃止対象路線に入ってしまうのですけれども、もしこれを残すとすればどういう基準で残すのかということを私はちょっと聞きたい。

○山地政府委員 いま私が線路名称に定めるところを基本として政令で決めたいと申し上げましたのは、線路名称に書いてあることというものを基本にいたしまして、いま先生御指摘のようなことについては、どういうふうな表現をするか、政令で書く段階で検討をしていきたいと、かように考えております。

○三浦(久)委員 これはやはり貨物の輸送量が将来どの程度伸びていくかということを考慮に入れなければならないはずなんですね。そのほかの新たな基準というものをつくるわけにはいかないと思うのです。そうすると、やはりこのいわゆる千葉貨物ターミナルから東京貨物ターミナル、もっと先まで、塩浜操車場まで結ぶようですけれども、いつできるのかということは一つの大きな問題ですね。ということは、一般的に将来の交通需要、いわゆる国鉄に対する需要というものを、いつの年度まで先を見るのかということですね。五年先まで見るのか十年先までなのか、これは乗客の場合も同じことだと思うのです。地域開発の効果というものをいつの時点でとらえるのかということは一番大事な問題ですよ。この京葉線についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。

○山地政府委員 個々の具体的なケースになりますと、先生の方が非常にお詳しい場合がありますので、私が間違える場合にはひとつお許しを願いたいと思います。
 いまの私の理解では、京葉線の蘇我というところまでは貨物だけをやっておるわけでございまして、この法律に言うところの特定地方交通線というのは、旅客営業をやっているものを対象にして、その協議会を開いて転換を図っていくということを考えておりますので、蘇我だけは、いまのところについてだけ申し上げますと、貨物の一般的な、今後伸びるかどうかということは別にいたしますと、いろいろなものについて、貨物だけをやっているものについては貨物の近代化、合理化という観点から別途の政策をとっていかなければいけない線であろうか、かように考えております。

○三浦(久)委員 そうすると、貨物の輸送密度が四千トン未満の路線は廃止対象線区にするのだという基準が出ておりましたけれども、それは貨物と旅客と両方輸送しているという場合に限定されるのであって、貨物の専用線といいますか、専用線という言葉はおかしいが、貨物のいわゆる貨物線、これはもうこの法律から全く除外されるというふうに聞いていいのですか。

○山地政府委員 地方交通線としての助成あるいはそれの転換のための特別措置、そういったものからは貨物線というものは除外しておりまして、いまおっしゃったように、貨物の幹線である場合は、旅客を営業している場合は同時に貨物幹線として残していくということが貨物の場合にはあるわけで、貨物だけを運送しているものについては貨物の合理化という観点から別途の政策を推進していく、かように考えております。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 関門トンネルと連絡船もろも... | トップ | 昭和40年代にあったカート... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国鉄関連_国会審議」カテゴリの最新記事