国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

国会審議議事録 昭和42年6月30日 Part2

2012-06-09 09:57:21 | 国鉄関連_国会審議
本日も昨日に引き続いて昭和42年6月の国会審議の模様です。
この頃は急激なモータリゼーションの発達で自動車の普及が進む反面、高度経済成長による歪が出てきはじめた頃でもありました。
 特に、踏切道の整備は遅れがちな上、無謀運転による踏切障害事故も増えていました。
そんな時代背景なども感じながら読んでいただけると幸いです。

○後藤委員 この踏切につきましては、いまお話がございましたように去年も事故を起こしておる、先月も事故が続いておる、さらに今度の事故だということで、同じようなケースで、事故の自動車は全部川の中に飛び込んでおる。この事故の起こる直前の、いわゆる先月ですが、トラックが同じようなケースで同じように犬上川に飛び込んでおる。こういう事故の連続でございます。
 建設関係の方もおいでになるのでお尋ねしたいと思うわけですが、交通安全対策特別委員会におきまして、全国の踏切道を点検するということが決定されておると思います。これは五月中に全部完了するのだ。六月になった場合には、点検した結果、あぶないところ、さらに心配なところについては即決で何らかの方法を考える。さらに恒久的な施策についても早急にやるのだ。これは五月二十五日の交通安全対策特別委員会で決定いたしております。ここに速記録も持ってきております。そうなってまいりますと、いま申し上げましたように、南海電車の二の舞いといわれるような事故を起こしておる。その踏切は先月も事故を起こし、さらに昨年も事故を起こしておる。この滋賀県の犬上川の踏切につきましては、おそらく五月中に点検がされておると私は思いますが、その点検の結果はいかようになっておるのかお尋ねをいたしたいと思います。

○豊田説明員 お答えいたします。
 私どものほうは、ただいま先生御指摘の点、特に四月の六日の交通対策本部決定事項、それから同七日付の交通関係閣僚協議会の了解に基づきます踏切事故の防止の強化策、それに基づきまして現在総点検を各出先のほうへお願いいたしまして、そういうものを現在集計をやっておるところがございます。もちろんその精神は、ただいま運輸省のほうから御説明がありましたように構造改良の問題、保安設備の整備の問題あるいは交通規制の問題、これは各県いろいろでございますが、私どもはこの構造改良の関係といたしまして、現在データをいろいろ分析中でございます。その中で、特に本年度の予算で執行できるものは逐次執行に移すような段階でもって、現在準備中でございます。

○後藤委員 そこでもう一歩突っ込んだお話でお尋ねをしたいと思うのですが、いま説明されたのは、大体点検をして資料を集めて予算ができたら面すのだ、一口に言ってそういうことだと思います。ところが事故というのは毎日毎日起こっております。しかも現在、政府なりその他努力はいたしておりますけれども、事故に対する対策というのは後手後手へ回っておる。事故があって初めて騒ぐ。こういうようなケースが非常に多いように思います。この踏切は現在開通しておりますが、これに対する扱いは一体どうなっておるかというと、やはりいままでどおりの状態です。注意を促すような立て札すら一本も立っておりません。去年も事故を起こし、先月も事故を起こし、今日も事故を起している。そして近江鉄道は開通したけれども、まだそのままでございます。これはいつ何どき事故が起こるかわかりません。この踏切はダンプカーが一日に大体七十回往復するわけなんです。しかも見通しといたしましても、先ほどいいようなことを言われましたけれども、あまりいい踏切ではございません。だから事故が起こっておるのだと私は思います。現在においても、開通はしたけれども、そのまま放置されておる。これはいつ何どきまた同じような事故が起こるかもわからない、そういう条件が整っておる踏切だと私は思います。これをこのままにしておいていいものかどうか。あなたが言われるように、全国のやつを集約して予算ができるまで待ってと、そうやっておりますと、おそらく来年にまたがってしまうと思います。この前の交通安全対策特別委員会におきましても、各省が、県知事等が中心になって少なくとも五月一ぱいに点検をやれ、そして早いところ事故を防ごうじゃないか、これが真剣なる論議であったと私は考えております。そういうところに事故の盲点があるのではないかと私は思います。
 そこで私は運輸大臣にもお尋ねしたいと思いますが、いま申し上げましたように、四月一日にありました南海電車と同じようなケースの事故だが、始発電車であったから被害は少なかった。しかも、トラックであったから先月の事故は被害が少なかった。こういうことを次から次へと同じ場所で繰り返して、開通はしたけれども、同じ条件でその踏切が放置されておる。こういうことで一体いいものかどうか。この点運輸大臣として全国的な事故撲滅のためにどういうふうな考え方を持っておられるか、お伺いしたいと思います。

○大橋国務大臣 この春起こりました南海電車の踏切事故はまことにひどいものでございまして、私も翌朝さっそく現場へ見舞いに参りまして、実にその惨状に驚いた次第でございます。きょう朝新聞を見ますと、あの当時の状況と同じような写真が載っております。これはまたひどい事故が起こったとびっくりしたのでございますが、この問題に関連して踏切対策がどうなっておるかということでございます。総点検にあたりましては、特に危険な踏切と認められるものは、集計を待たずして直ちに改良の方針を個々に決定しておるというような状況でございます。したがいまして、本踏切につきましても、先ほど鉄監局長より申し上げましたごとく、これはすでに踏切の格上げを決定しておるのでございます。四十二年度、すなわち本年度に実施の予定になっております。ただ事故が起こってから何カ月か放置されて、その間に今度のような事故が起こるということは、まことに申しわけないことでございます。私ども、格上げが決定いたしております個々の踏切につきまして、さらにこの機会に、これを契機としてもう一度当たりまして、急速を要するものから当初の予定にかかわらず促進するようにいたしたいと存じます。

○後藤委員 そうしますと、全国的な踏切事故に対する防止の考え方については、運輸大臣が言われましたことはわかるわけでございますけれども、ただ私の言わんとするのは、こういうふうにたび重なる踏切を一体いつまでそのまま放置しておくのか。格上げして、それが完成するまで現在のままで置いておくのかどうか、それでいいのかどうか、それで事故が未然に防げるのかどうか、このことを運輸大臣としてどういうようにお考えなのかという点を私はお聞きしたいわけなんです。あなたのおっしゃるように、点検した結果を見て、二極を一極にする、あるいは三種を二種にする、こういうふうな気持ちというのはよくわかるわけなんです。これは長い間叫び続けてきた問題でございますけれども、やはり同じような種類の事故が重なって起こるということは、私はどこかに盲点があると思います。その盲点というのは、先ほど申し上げましたように、去年もやっておる、先月もやっておる、今回もやった。いま開通しておりますけれども、踏切は前と同じことで放置されて、みんながやはり通っておるわけなんです。それでいいのかどうか。だから私もきょうは県警の交通課のほうに聞いてみますと、以前のとおりそのままでございます。こういうふうなことも確認をいたしたわけでございます。そのことについて一体運輸大臣としては――これは滋賀県だけの問題ではなしに、全国にそういうケースがたくさんあるじゃないか。やかましく言われておるから、即決として一体この危険な踏切をどうする、こういう事故の起こりそうなところは一体どうする、そこへ神経をきめこまやかに使っていくところに、事故を防止する大切な点があるんじゃないか、私はその点をお聞きしておるわけです。

○大橋国務大臣 御質問の御趣旨はよく了承したつもりでございます。そこで、どうするかという問題でございまするが、現実に工事を完了するにはやはりそれまである程度の期間があることはやむを得ないと思いますが、その間においても、いやしくも危険を避けるために必要と認められる措置をとることが重大な点じゃないか、こう思うのでございまして、たとえば踏切の明確な表示を行なうとか、あるいは注意書きをつけるとか、そういう方法で幾らかでも事故の発生を防止するようにいたすことが一つの方法じゃないかと思いますので、この点至急省において研究いたしまして、それがいいとなったら直ちにやりたいと思う次第でございます。

○後藤委員 それで、いま私が質問いたしましたのもその点でございますけれども、やはり全国的にもこういう盲点と申しますか、こういう点がたくさんあろうと思いますし、さらに、今回の犬上川の事故につきましては、滋賀県の問題でもございます。ただ私は滋賀県だけのことを言っているわけではございませんけれども、ぜひひとつ、総点検ということもきまっております。点検したけれども、その結果放置されておったのでは点検したかいもないと思いますし、予算がくるまでそのままだというようなことでは一年、二年先になってしまうと思います。特にこの事故を起こしましたところの滋賀県、この事故につきましても非常に危険な踏切であるということは、もう実績がものをいっておりますので、ぜひひとつ、この踏切に対しましても、再びこういうような不幸な事故が起きないように、責任を持って対策を講じていただきますようにお願いをいたしたいと思います。
 さらに滋賀県は御承知のように、名神国道から国道が非常にたくさん通っておる県でもございますので、さらに私鉄あるいは国鉄と、交通につきましては非常に複雑な県でもございますから、この踏切点検等の問題も実施されておらなければ、早急に実施をしていただいて、早くいま大臣が言われたような手を打って、人命に殺傷を与えるような事故防止のために全力を尽くしていただきますようにお願いをいたしたいと思います。この事故につきましても、具体的対策を早急に立てていただきますようにお願いをいたしたいと思います。終わります。



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