国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
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国鉄の貨物輸送(昭和44年)、将来の貨物輸送から

2016-07-02 10:52:32 | 国鉄思いで夜話
国鉄が発行していた部内誌に「国鉄線」と言う冊子があります。
今回は、その冊子の昭和44年1月号の記事で見かけた内容をアップさせていただこうと思います。

「10年後の貨物輸送」というタイトルの記事で、他の交通機関が発達する中で、国鉄の貨物輸送はどうあるべきかという視点から、書かれています。
以下は、当該記事を抜粋して改正津した内容になります。

参考 国鉄線 昭和44年1月号(参照するにはパスワード、登録無料)の申請が必要になります

これによりますと、今後の国鉄貨物は工業製品が中心となり、臨海工業地帯から内陸部への輸送が増えるので、それに合わせた輸送方式並びに輸送設備を再編する。
具体的には、フレートライナー方式(現在のコンテナ輸送方式)ピストン輸送方式(拠点間輸送)、地域間直行方式が中心になると予測されていると書かれています。

特にこの時期に顕著な改善が行われたのは、地域間急行と呼ばれた貨物列車であり、これには貨物ダイヤシステムが構築されたそうです、これはのちにエポックスと呼ばれるシステムとしてフレートライナー(後のコンテナ特急)に導入されていきます。

昭和44年当時、将来の貨物輸送と称してコンテナを中心としたフレートライナーの輸送網が完成するとして、その構想図が描かれていました。

現在のように液晶ディスプレーに表示されるような代物ではなくて、さん孔テープで出力される記号を見て判断する方式でした。

他にも興味ある話としては、博多まで新幹線が開業し貨物列車も新幹線で走る予想が描かれています。
新幹線による貨物輸送は結局鳥飼付近に用地を確保したものの夜間保守間合いの確保などの理由から、貨物輸送計画は白紙となりましたが、仮に国鉄時代に貨物輸送が始まっていたらその後はどのような展開になっていったのでしょうか?

そこで、今回はこうした夢にあるお話はひとまず置いておいて、「地域間貨物輸送」についてお話をさせていただこうと思います。

実は、国鉄の貨物輸送については昔からその改善が急務と言われており、ヤードを経由する貨物列車の場合途中駅で連結開放を繰り返すことから駅ごとの滞留時間が24時間を超える場合があるなど現在から見れば前時代的な輸送方法でした。

昭和44年当時でも貨物の表定速度は5km/hとか10km/hなどと言われていました。
幾ら高速度で運転しても、駅での待ち時間が大きいため結果的でした。

実際に、昭和30年代からその辺は問題視されており、昭和40年代になると急速に貨物取扱駅の集約が行われて行きました。約4000ある貨物駅を1000駅まで集約すると言うことでしたが、実際には中々進まなかったのが現状でした。

さらに、昔の貨物は人力による積み下ろしが一般的で、積み下ろしによる荷痛みの問題もありました。

昭和30年代後半からは、パレット輸送に適したワム80000と呼ばれる貨車が開発されていったほか、貨物版マルスと呼ばれた「地域間急行貨物列車」というものを設定していました。

地域間急行貨物列車の車票(イメージです)

ただ、貨物列車の場合「急行」と名前はついても運賃に急行料金が上乗せされるわけではありません。
列車を組成する時点で出来るだけ同方向(九州であれば小倉以遠等)向けの列車で組成して途中駅での入換を極力少なくなるように計画された列車で、ヤードを通過しない分だけ到着時間が早くなりサービス向上につながると言われました。

こうした地域間貨物を支えたのが貨物列車のコンピュータ管理でした。(名称はちょっと今思い出せません。)
さらに、将来に予測と言うのを見ていますと昭和44年に10年後にはヤードを廃止する構想があると書かれていることに驚かされます。

国有鉄道発行、国鉄線から引用

こちらも、実際には武蔵野ヤードのように高度に自動化されたヤードが作られ、結果的に10年ほどしか使わずに廃止になるなど無駄な投資に終わった部分もありましたが、昭和40年当時の国鉄の貨物輸送の雰囲気を感じていただければと思います。

今後も、国鉄線と言う、国鉄時代の資料を参考に書かせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

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