ダラダラと続いたのですが、今回が最後になります。
ただ、最後のこの質問が非常に注目すべき質問をされていますので、逐次解説を挟みながらお話をさせていただこうと思います。
中馬弘毅委員は、大阪市出身の国会議員ですが特に注目したのは、交通に関する考え方について非常に明確な視点を持っておられたと言うことです。
逆説的に言えば、地方についてもよく理解されていると言う点です。
昭和54年当時でも農家の自家用車保有率は100%となり、鉄道を利用しなくとも生活が出来てしまう、実際には今度は高齢化により自動車を運転が困難になってしまったと言う問題も発生しているといえますが・・・。
「鉄道が通ったら町が、あるいは村が発展するということでもなく、逆にス-パーあたりが一つ店を開いた方が町が発展するというようなことでございます。」
これは、現在も行われていますが、AEONが出店することで町が活性化する・・・と言う安易な発想から結果的には地元の商店街を疲弊させてきたわけです。
そして、これは鉄道についても同じではないかと指摘しています、この辺の指摘は大変的確で35年以上前の指摘とは思えないと言うか、政府の交通政策が30年前と変わっていないのではないかと思ってしまうんですね。
「新幹線が通ったからといって、逆にそれは場合によっては過疎化を促進させているかもしれません。一つのバキューム効果ということで地方からどんどん東京の方に管理機能が移ってしまって、地方は少しさびれるというような状況にもなってまいります。人の意識も変わってまいりまして、少々高くてもスピードが速かったらその方を利用するし、あるいは安くてもサービスが悪かったら利用しないというようなことになってきているわけです。」
そして、この件で中馬委員が当時の鈴木善幸首相に言質を取っているのですが、実際にはこの言質が実行されず、一部政治家の利権の道具として整備新幹線が利用されている現状に対し、怒りを感じてしまいます。
といいますのは、中馬委員は国鉄再建法に関するローカル線の廃止について一定の理解を示し、「飛行機だとか鉄道だとか、あるいは自動車の特性を生かした効率的な交通体系を再構築するということを西中委員の御質問に対して答弁されたわけでございますけれども、今度の法律がただ単に国鉄の再建のための地方線の足切りではなくて、それぞれの交通の特性を生かしてバスに転換するということで、私たちはこれを評価しているわけですね。」と言うように他の委員が地方の活性化のために鉄道を残せと言う考え方と一線を画する考え方をしています。
さらに、こうして鉄道伊賀の交通機関とも連携した交通もの発展をするものと考えているのですが、鈴木善幸首相が、整備新幹線に関しては
「 整備新幹線の問題が出ましたですけれども、それは閣議了解をしているからやるんだ、あるいは財源が調えばやるんだというお答えでございました。そうすると、本当に特性を生かした検討ということはもう聖域になってしまうのか。閣議で了解したからこのことは全く交通の特性に関係なく実施するんだというようにもとれてしまうのですけれども、そこのところはどうなんですか。そういうことも含めてもう一度一から交通の特性を生かした体系を組み立てるというおつもりではないのか、そこのところの御答弁をお願いしたいと思います。」
ということで、整備新幹線についても総合的な交通体系を作るのか否かと言う視点で質問をしており、それに対して、鈴木首相は
「この法律の精神に基づきまして最も適正合理的な基準を設定をいたしまして、それに基づき政令等がつくられた場合には、その運用に当たりましては厳正に、いささかも国民の疑惑、御批判を仰ぐことのないようなりっぱな運営をやってまいる、このことをはっきり申し上げておきます。」
と答弁しているのですが、残念ながら整備新幹線問題に関しては、国鉄改革の法案審議中は審議は棚上げにされていたにも関わらず、国鉄改革法案が通過した後すぐに、整備新幹線問題(着工の優先順位)などを審議し始めたのですから正直、総合交通体系など考えていないのではないかと思ってしまうんですね。
今となっては、当時のこの、鈴木首相の答弁が軽いものに思えてなりません。
なお、こうしたローカル線の問題にも繋がっていくように思えます。
なお、三江線に関する件は幣ブログ。鉄道ジャーナリスト加藤好啓(blackcat)blogでアップさせていただきます。
次回は、衆議院もしくは参議院の運輸委員会の議事録をアップさせていただく予定です。
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取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽に
blackcat.kat@gmail.comにメール
またはメッセージ、コメントにて
お待ちしております。
国鉄があった時代 JNR-era
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**********************以下は、本文になります。***************************
○小此木委員長 中馬弘毅君。
○中馬委員 このところ交通面の時代的な背景がずっと大きく変わってきているわけです。高度成長時代のように利用者がどんどんふえるわけでもなければ、あるいは道路も山奥まで整備されて、農家の自動車の保有率はほぼ一〇〇%という状況になっています。また、鉄道が通ったら町が、あるいは村が発展するということでもなく、逆にス-パーあたりが一つ店を開いた方が町が発展するというようなことでございます。それから、新幹線が通ったからといって、逆にそれは場合によっては過疎化を促進させているかもしれません。一つのバキューム効果ということで地方からどんどん東京の方に管理機能が移ってしまって、地方は少しさびれるというような状況にもなってまいります。人の意識も変わってまいりまして、少々高くてもスピードが速かったらその方を利用するし、あるいは安くてもサービスが悪かったら利用しないというようなことになってきているわけです。
先ほど総理は、飛行機だとか鉄道だとか、あるいは自動車の特性を生かした効率的な交通体系を再構築するということを西中委員の御質問に対して答弁されたわけでございますけれども、今度の法律がただ単に国鉄の再建のための地方線の足切りではなくて、それぞれの交通の特性を生かしてバスに転換するということで、私たちはこれを評価しているわけですね。ところが、総理の御答弁の中で少しおかしいと考えられるところがありましたので、そのところを確かめさせてもらいます。
整備新幹線の問題が出ましたですけれども、それは閣議了解をしているからやるんだ、あるいは財源が調えばやるんだというお答えでございました。そうすると、本当に特性を生かした検討ということはもう聖域になってしまうのか。閣議で了解したからこのことは全く交通の特性に関係なく実施するんだというようにもとれてしまうのですけれども、そこのところはどうなんですか。そういうことも含めてもう一度一から交通の特性を生かした体系を組み立てるというおつもりではないのか、そこのところの御答弁をお願いしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 整備五線の問題は、わが国の将来の展望に立ったところの総合交通体系の骨格としてもともと立てたものでございます。ただ、現在その財源対策、また交通体系の形成に当たりまして他の交通機関との関連というものを十分配慮しながらこれを進めなければならないというのが私の考え方でございます。
○中馬委員 そういうことも含めて、本当に時代に合った交通体系を再構築されることを望んでおります。
それから、冒頭に加藤委員から御質問があって、お答えをお求めになっておりませんでしたけれども、今度の特定交通線の選定、これは大変むずかしい問題だと思うのです。それぞれの方々にも各地域、各団体から陳情がたくさん来ているのですね。そうすると、国鉄当局の厳正中立的な基準に基づいて、いささかも政治的な配慮あるいは国民の疑惑を招くような決定を絶対させないということを、加藤さんはお答えをお求めになっておりませんでしたけれども、総理からひとつここで明言をしていただきまして、質問を終わらせたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 この法律の精神に基づきまして最も適正合理的な基準を設定をいたしまして、それに基づき政令等がつくられた場合には、その運用に当たりましては厳正に、いささかも国民の疑惑、御批判を仰ぐことのないようなりっぱな運営をやってまいる、このことをはっきり申し上げておきます。
○中馬委員 終わります。
○小此木委員長 次回は、来る三十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十六分散会
ただ、最後のこの質問が非常に注目すべき質問をされていますので、逐次解説を挟みながらお話をさせていただこうと思います。
中馬弘毅委員は、大阪市出身の国会議員ですが特に注目したのは、交通に関する考え方について非常に明確な視点を持っておられたと言うことです。
逆説的に言えば、地方についてもよく理解されていると言う点です。
昭和54年当時でも農家の自家用車保有率は100%となり、鉄道を利用しなくとも生活が出来てしまう、実際には今度は高齢化により自動車を運転が困難になってしまったと言う問題も発生しているといえますが・・・。
「鉄道が通ったら町が、あるいは村が発展するということでもなく、逆にス-パーあたりが一つ店を開いた方が町が発展するというようなことでございます。」
これは、現在も行われていますが、AEONが出店することで町が活性化する・・・と言う安易な発想から結果的には地元の商店街を疲弊させてきたわけです。
そして、これは鉄道についても同じではないかと指摘しています、この辺の指摘は大変的確で35年以上前の指摘とは思えないと言うか、政府の交通政策が30年前と変わっていないのではないかと思ってしまうんですね。
「新幹線が通ったからといって、逆にそれは場合によっては過疎化を促進させているかもしれません。一つのバキューム効果ということで地方からどんどん東京の方に管理機能が移ってしまって、地方は少しさびれるというような状況にもなってまいります。人の意識も変わってまいりまして、少々高くてもスピードが速かったらその方を利用するし、あるいは安くてもサービスが悪かったら利用しないというようなことになってきているわけです。」
そして、この件で中馬委員が当時の鈴木善幸首相に言質を取っているのですが、実際にはこの言質が実行されず、一部政治家の利権の道具として整備新幹線が利用されている現状に対し、怒りを感じてしまいます。
といいますのは、中馬委員は国鉄再建法に関するローカル線の廃止について一定の理解を示し、「飛行機だとか鉄道だとか、あるいは自動車の特性を生かした効率的な交通体系を再構築するということを西中委員の御質問に対して答弁されたわけでございますけれども、今度の法律がただ単に国鉄の再建のための地方線の足切りではなくて、それぞれの交通の特性を生かしてバスに転換するということで、私たちはこれを評価しているわけですね。」と言うように他の委員が地方の活性化のために鉄道を残せと言う考え方と一線を画する考え方をしています。
さらに、こうして鉄道伊賀の交通機関とも連携した交通もの発展をするものと考えているのですが、鈴木善幸首相が、整備新幹線に関しては
「 整備新幹線の問題が出ましたですけれども、それは閣議了解をしているからやるんだ、あるいは財源が調えばやるんだというお答えでございました。そうすると、本当に特性を生かした検討ということはもう聖域になってしまうのか。閣議で了解したからこのことは全く交通の特性に関係なく実施するんだというようにもとれてしまうのですけれども、そこのところはどうなんですか。そういうことも含めてもう一度一から交通の特性を生かした体系を組み立てるというおつもりではないのか、そこのところの御答弁をお願いしたいと思います。」
ということで、整備新幹線についても総合的な交通体系を作るのか否かと言う視点で質問をしており、それに対して、鈴木首相は
「この法律の精神に基づきまして最も適正合理的な基準を設定をいたしまして、それに基づき政令等がつくられた場合には、その運用に当たりましては厳正に、いささかも国民の疑惑、御批判を仰ぐことのないようなりっぱな運営をやってまいる、このことをはっきり申し上げておきます。」
と答弁しているのですが、残念ながら整備新幹線問題に関しては、国鉄改革の法案審議中は審議は棚上げにされていたにも関わらず、国鉄改革法案が通過した後すぐに、整備新幹線問題(着工の優先順位)などを審議し始めたのですから正直、総合交通体系など考えていないのではないかと思ってしまうんですね。
今となっては、当時のこの、鈴木首相の答弁が軽いものに思えてなりません。
なお、こうしたローカル線の問題にも繋がっていくように思えます。
なお、三江線に関する件は幣ブログ。鉄道ジャーナリスト加藤好啓(blackcat)blogでアップさせていただきます。
次回は、衆議院もしくは参議院の運輸委員会の議事録をアップさせていただく予定です。
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○小此木委員長 中馬弘毅君。
○中馬委員 このところ交通面の時代的な背景がずっと大きく変わってきているわけです。高度成長時代のように利用者がどんどんふえるわけでもなければ、あるいは道路も山奥まで整備されて、農家の自動車の保有率はほぼ一〇〇%という状況になっています。また、鉄道が通ったら町が、あるいは村が発展するということでもなく、逆にス-パーあたりが一つ店を開いた方が町が発展するというようなことでございます。それから、新幹線が通ったからといって、逆にそれは場合によっては過疎化を促進させているかもしれません。一つのバキューム効果ということで地方からどんどん東京の方に管理機能が移ってしまって、地方は少しさびれるというような状況にもなってまいります。人の意識も変わってまいりまして、少々高くてもスピードが速かったらその方を利用するし、あるいは安くてもサービスが悪かったら利用しないというようなことになってきているわけです。
先ほど総理は、飛行機だとか鉄道だとか、あるいは自動車の特性を生かした効率的な交通体系を再構築するということを西中委員の御質問に対して答弁されたわけでございますけれども、今度の法律がただ単に国鉄の再建のための地方線の足切りではなくて、それぞれの交通の特性を生かしてバスに転換するということで、私たちはこれを評価しているわけですね。ところが、総理の御答弁の中で少しおかしいと考えられるところがありましたので、そのところを確かめさせてもらいます。
整備新幹線の問題が出ましたですけれども、それは閣議了解をしているからやるんだ、あるいは財源が調えばやるんだというお答えでございました。そうすると、本当に特性を生かした検討ということはもう聖域になってしまうのか。閣議で了解したからこのことは全く交通の特性に関係なく実施するんだというようにもとれてしまうのですけれども、そこのところはどうなんですか。そういうことも含めてもう一度一から交通の特性を生かした体系を組み立てるというおつもりではないのか、そこのところの御答弁をお願いしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 整備五線の問題は、わが国の将来の展望に立ったところの総合交通体系の骨格としてもともと立てたものでございます。ただ、現在その財源対策、また交通体系の形成に当たりまして他の交通機関との関連というものを十分配慮しながらこれを進めなければならないというのが私の考え方でございます。
○中馬委員 そういうことも含めて、本当に時代に合った交通体系を再構築されることを望んでおります。
それから、冒頭に加藤委員から御質問があって、お答えをお求めになっておりませんでしたけれども、今度の特定交通線の選定、これは大変むずかしい問題だと思うのです。それぞれの方々にも各地域、各団体から陳情がたくさん来ているのですね。そうすると、国鉄当局の厳正中立的な基準に基づいて、いささかも政治的な配慮あるいは国民の疑惑を招くような決定を絶対させないということを、加藤さんはお答えをお求めになっておりませんでしたけれども、総理からひとつここで明言をしていただきまして、質問を終わらせたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 この法律の精神に基づきまして最も適正合理的な基準を設定をいたしまして、それに基づき政令等がつくられた場合には、その運用に当たりましては厳正に、いささかも国民の疑惑、御批判を仰ぐことのないようなりっぱな運営をやってまいる、このことをはっきり申し上げておきます。
○中馬委員 終わります。
○小此木委員長 次回は、来る三十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十六分散会
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