国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

衆-運輸委員会-11号 昭和58年05月18日 第2話

2014-09-12 09:00:00 | 国鉄関連_国会審議
みなさま、おはようございます。
本日も引き続き、衆議院運輸委員会からの議事録からアップします。
今回も、小林議員の質問が光ります。と言うか元国鉄職員だけに貨物輸送に対する強烈な当局批判ともとれます。
この当時の社会党はまだ健全な感じがしますね、今の社民党は正直全く機能していないし、民主党も野党体質が抜け切れないのですから、これからは更に縮小していくことになるのでしょうか。
私は、考え方としては保守でありますが、健全な意味での左翼的政党の誕生を切に願うものです。
全員が、右翼的発想になればそれはそれで亡国に繋がります、あえて反論する人がいることが重要と思っています。
さて、前置きの余談が長くなりましたが本日もどうぞご覧くださいませ。

○小林(恒)委員 それでは伺いますけれども、経営改善計画を策定するに当たって、各分野で省力化政策を行っていく、いわゆる六十年度の要員を現行計画では三十五万人とこう出ていたものを、さらに減量に減量を重ねて二十九万人にまでする、六十二年度までには二十六万人、六十二年から六十五年度までには二十四万人くらいまで落として人件費を削減をしていきたい、こういった計画があるわけです。そういったものの中の一環として今回ヤード系貨物の廃止、こういった問題が出てきたやに想定をするわけであります。こんな状況の中で、百歩どころか千歩譲って、昭和六十五年二十四万人体制になれば、国鉄は貨物を含めて黒字経営できるのですか。

○高木説明員 現行の経営改善計画では六十年時点で三十五万という体制で考えましてそれに取り組んでまいりましたが、しばしば申し上げておりますように、旅客につきましても貨物につきましてもその計画で見込みましただけの輸送量がないであろうということが考えられますので、それに伴いまして輸送力を落とそう、つまり仕事の規模を減らそうということで、いまいろいろ作業したり、またもっと将来の見通しについていろいろ考えたりいたしているところでございます。そうして、この新しい経営改善計画を本年なるべく早い時期にお示しをしなければならぬというふうに考えております。ただ、いまおっしゃいますようないろいろの数字をお示しになりましたけれども、これは実は一切私どももまだそこまで考えているわけではないわけでございまして、問題は、何といいましても輸送量をどう見込むかということが問題でございまして、そして仕事の量が決まれば、やはり何と申しましても国鉄の公共的役割りというものにかんがみまして、それだけのお客さんなりあるいは貨物なりを運ぶということを絶対的な使命としなければならぬというふうに考えているわけで、そういう需要と関係なく規模を小さくするということは考えていないわけでございます。
 さて、その場合にどのぐらいの数か、職員の数のことを全然頭に置いていないわけではないのでございますけれども、具体的にいまお示しのように何万といったようなことはまだ作業過程においても、まさにそれは一つの作業の重要なポイントではございますけれども、どのような数字も持っておりません。ただ、問題は、一人当たりの輸送効率が大変落ちておるわけでございます。相当苦労いたし、職員にも迷惑をかけながら職員数はどんどん減らしておるのですけれども、それでもなおかつ一人当たり輸送効率は思うように上がらない、過去の最も効率がよかったときより大分落ちております。なぜかと言えば輸送量が減ってしまっているからでございまして、そうした輸送量と見合いながら、そして輸送量の見込みに見合いながら新しい計画は立てますが、ただ、現時点では何年に何人というようなところまで作業が詰まっておりませんということだけ御了解いただきたいと思います。

○小林(恒)委員 私の言った数字は考えておらない、こんな言い方で、この資料は国鉄からいただいた資料なんだから、それでは私にうその資料を渡したのかということにもなるわけで、そんな議論をしてもしようがないのだけれども、決して総裁の言葉じりをとらえるつもりはありませんが、たとえば昭和六十年度までの貨物輸送量が一体どれくらいで落ちつくのか、輸送量はないのではないだろうか、こういう表現をされているわけですけれども、削減をし、さらに削減をし、利用しづらくすればこれは間違いなく量は減りますよ、利用しづらくなるのですから。
 それならば総裁にお伺いしますけれども、公共企業体日本国有鉄道の使命として、貨物の全国ネットワーク体制というのは維持しようとしているのか、あるいはそれは放棄したのか、この基本的な考え方について明示をしてください。

○高木説明員 六十年時点における貨物の輸送量は、現在七千七百万トンというふうに考えておるわけでございます。それを前提にして明年二月のダイヤ改正を組み上げたいというふうに考えておりますが、先ほど申しましたように、さらにその先どういうふうに考えるかということについてはまだ明確な数字を持っておりません。したがって、職員の数がどうなるかということについても、明確なものが算定できないということになっているわけでございます。
 次に、いまお尋ねの公共的使命ということ、それと全国ネットワークということでございますが、貨物につきましては、従来、全国、線路のあるところであれば大体どこの駅からでも貨物をお預かりする、そしてどこの駅へでもそれを運びますということでございました。そういう機能を果たすためにはヤードがどうしても必要だということであったわけでございますが、御存じのようにヤード系輸送が余りにもコストがかかり過ぎるということでございますし、もしそのコストに見合って運賃を立てるといたしますと大変高い運賃になりますので、また、そういう意味で御利用が減ってしまうだろうということでございました。どこからでもお預かりをして、どこへでも持っていくという意味での貨物輸送の体系というものは、この際撤退をいたしたいというふうに考えております。しかし、何といいましても、数が少なくても伝統的な役を果たしてきたという関係もありまして、貨物輸送についてのリーディングカンパニーであるという役割りは、これは御利用者の方々からそういうふうに見られておるわけでございますので、たとえ競争的に不利なことがありましても、やはり基本の仕事はやっていかなければならない。そういう意味では、貨物の公共的役割りというものは、私どもは放棄をしてはならぬというふうに考えております。
 六十年時点でどんな経営を考えているかというと、しばしば担当の者も申しておりますように、固有経費で収支均衡するということでございますから、本来の全体経費から考えますと均衡していないわけでございまして、貨物固有経費で収入と経費が見合う程度にするということは、全体としてはまだまだ見合っていない状態であるわけでございます。それがいいか悪いかは非常に問題はありますけれども、当面はその辺を基準にして、そこまでのものであれば赤字であってもやはりやっていくというのをいまの基準に置きまして、その程度のことで公共的役割りを務めさせていただき
たいというふうに考えているわけでございまして、その意味では決して全部公共的役割りを放棄したということではないと考えております。

○小林(恒)委員 若干矛盾するのですね。国鉄の貨物分野では全国ネットワーク体制を放棄することはこれでもう明確になりましたね。しかし、可能な限り公共的な使命だけは存続していかれるように努力を積み上げたい、これは国鉄が独自で考えるべきことかどうか、むしろ運輸省として判断をしなければならない事項が大変多いのではないかと思われますけれども、全国ネットワーク体制を国鉄が放棄をする、こうした場合に、放棄をした部分を担っていく対応策といったものを運輸省では具体的に検討されていますか。
    〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕

○永光政府委員 いま国鉄の貨物の公共性のお話がございました。確かに全国ネットワーク、どこからでも、どこへでもという一つの公共性、昔その能力があったと思うのでございますが、やはり全体の貨物の現状から見まして、少なくともその交通の特性を発揮する分野においてだけはその使命を果たすということを基本に、現在システムチェンジを図っておるところでございます。
 先生お尋ねのように、そういう形で国鉄の貨物の再生のために合理化を推進するに当たって、全国ネットワークでない、いわゆる切り捨てられるというか、撤退する部面についてどうかというお話でありますが、全体的なマクロの考え方から申しますと、現在考えておるような輸送量あるいはネットワークの撤退ということは、他の交通機関におきましての代替が可能であると総合的にわれわれは考えておりますが、個別的、具体的なそれぞれの輸送の形態につきましては、危険品であるとかその他貨物の特殊性もございましょうし、今後国鉄の五八Xの合理化をさらに具体的に進める段階において、われわれとしても、あるいは関係省庁とも相談をしながら適確に対応いたしていきたい、こういうふうに考えております。

○小林(恒)委員 総体的には対応できる、しかし個別にはむずかしい問題があるだろう。なるほど言っていることはそのとおりなんであります。ただ、その個別という部分で国民生活に影響が大きいとすれば、これは運輸行政の重要な一端として、もうすでに国鉄が全国ネットワーク体制を放棄をした段階で、運輸行政機構としてはこのように考えているというものがなくてはならないのではないですか。たとえば、直行輸送システムで自主流通米などを輸送することはきわめて困難である。バラ積み体制というそういったお米の輸送体制があったにもかかわらず、これがなくなってしまう。荷づくり費用がかかる、比較的中長距離輸送がこの自主流通米の中にはあるぞ、こういった問題点が出た場合、それに対応する施策といったものはもうすでに出ていなければいけないのではないですか。私はまだないと思うのです。ないから、各企業体、各関係者は、問題があるぞと言って運輸大臣にも陳情これ努め、また、企業はそれぞれ連合して、問題があるから何とかして存続をするという方向を模索しているのではないですか。
 いま私が取り上げたのは自主流通米一点でありますが、このほかにも数多くの問題が出てきていると思います。触れられておりますように、危険品輸送であるとか、あるいはそのほかに重量物、重電機製品の輸送、こういったものなど数え上げれば切りがないくらい相当数あるだろう。きょう警察庁お願いをしておりませんから細かく御質問することについては割愛をいたしまするけれども、たとえば危険品を輸送するという場合の対応策、運輸省として何か考えられているものがありますか。

○永光政府委員 いまいろいろお話がありましたが、たとえば農林関係等につきましては農林省、危険品あるいは化成品等につきましては通産省、あるいは関係業界等からいろいろ具体的な話も伺っております。個別的にはコンテナ化するとか、あるいは実際上のダイヤの編成においてそういうものが救済できるものがあればというようなことかと思いますし、さらに、本当に他の交通機関に移った場合に、先生おっしゃるように他の交通施設あるいは道路に対する影響はどうかというような問題が具体的に出てくると思います。
 一、二例を挙げて申しますと、たとえばいま問題の一つになっておりますのは、個別的な名前を挙げるとどうかと思いますが、足尾の方で濃硫酸という問題がございまして、これについて地元の方々が道路輸送は非常に危険ではないか、こういうようなお話がございました。建設省あるいは警察等といろいろ御照会をしながら、われわれも現在仮にそれがタンクローリーにかわった場合に安全性が担保できるかどうかということを、そういう道路に関しての責任のある役所と御相談をいたしております。
 それから、火薬類の運送につきましては、これは火薬類取締法に基づきます運輸省の省令の運送規則におきまして、現実には現在コンテナでは運べないというかっこうになっておりまして、実際上コンテナ化することによって何らかの形で火薬類のうちのある一部面でも運びたいという考え方が、省令がいろいろ阻害要因にもなっておりまするので、われわれとしましても、コンテナで輸送
できる安全性というものを現在検討しておりまして、その結果によりまして火薬類のある一面につきましてはコンテナによる輸送というものが可能になるような形で検討いたしたい、かような形で、法令上あるいはそういう代替道路の問題等につきましても、具体的な問題についてわれわれも取り組んでおるところでございます。

○小林(恒)委員 これは東洋経済という週刊誌でありますけれども、「代替手段なく頭抱える重電機業界」というタイトルで若干の記事が載っかっているわけです。
 二月一日に貨物合理化の内容が明示をされてから以降、直ちに二日の日にはもうすでに反対の声明を出す、三月十五日には運輸大臣あてに陳情書を提出し、三月十八日には国鉄当局に面会を求めて陳情書を提出した。理由については七項目ほどあるわけですけれども、三十トンから三百トンくらいあるような重電機製品を輸送する手だてというのは、何をおいても国鉄輸送が一番適合していると言えると思うのです。しかし、今度の貨物輸送体制の大幅な変化に伴って一般貨物列車扱いからすべて臨時貨物列車扱いになる。こういうことになりますると、輸送するための手だてを整えるだけでも、半年前に申請をして、数度の折衝を経て、二カ月前くらいに編成が決まる、それまでの時間が必要になってくる。加えて、現行運賃の五倍から十倍くらいに高上がりになっていく。
 こういう状況の中で国鉄に対して陳情書を提出したところが、国鉄側からは代案として、発電機などは部品をばらばらにして現地で組み立てたらどうか、こんな代案が出たり、ヘリコプター輸送などはどうか、こんな代案が出たようですね。三百トンもの重量物を運ぶヘリコプターがあったら示してください、こんなことまで書かれているわけですけれども、こういった重電機業界の要請を国鉄当局は今日段階でどのように受けとめ、どのような対応策を今後示そうとしているのか。これは雑誌ですから、国鉄当局の考え方を誤解のないように正確に示せるものであれば示していただきたいと思うのです。

○橋元説明員 重電機メーカーの製品と申しますのは、発電所の大きな発電機械とかその他でございますが、現在十一万トンという実績でございます。これは現在でもかなり前広に御予定がお立ちになりますので、輸送列車であるとか、そのために線路等の施設状態も点検をいたしましたり、いろいろな手配を特別にいたしまして輸送いたしておるものでございます。いわば一種の注文生産をお受けしてやっておるという輸送でございます。
 そこで、今回こういったシステムチェンジをいたしますにつきまして、いろいろメーカーの方々ともお話をしているわけでありますが、私どもとしましては、やはり一般車扱い列車はきわめて限定的になりますので、それぞれの御要請に対して臨時の約束貨物ということで、貸し切り列車という体系でこれをお受けしたいということを申し上げているわけでございます。いろいろ記事には出ておりますけれども、まず、いろいろなやりとりの中で、全体としてよりよい輸送体系を何とかつくり上げたいということにいたしております。
 なお、この輸送方につきましては、従来ともちょっと割り安だという見方もございましたので、この四月にかなり割り増し率を改正させていただきました。負担方につきましては今後ともよく御利用のそういった重電機メーカーの方々とお話し合いをしながら、そして、輸送につきましてもそれぞれ具体的に御相談を申し上げたい、こう思っておるところでございます。


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