カシミールのお寒い争い
ベンガルの腐った果物と、
飢えた犬が人間の糞を食らう逸話、
そして、便座を巡るエジンバラとボンベイの物語は
何よりも心優しい。
男と女の行く末に、目頭を押さえながら
感動の振りをして、そっと彼女の体を撫でようとしたのだが
女は
”あんたには愛する家庭があるんでしょう”
そのセリフは間違いじゃない
しかし、愛は時に場違いな真似をする
愛は狂おしいものだ
全てを得て、だけど全てを失って生きる、
と言うこともある、
きっとそれを、彼女はまだ知らないだろう
パラシュートも無いまま
荷物を抱えてゴアの上を飛ぶ
堕ちた旅には
そうそう他人を連れては行けないのかも知れない