”わたしは元気よ”
それは
その声は
ひらひらとした紙に書かれていただけで
何の音もしなかったが
俺にはその時その日、女が
“私大丈夫よ”
とはにかんだ様に
耳に聞こえた気がした
相変わらず
無理して明るく振舞って
小さく重い物を、
背負っているように聞こえた。
明るく、笑顔で、
それは何よりあの娘の取り柄なんだが。
が
俺はその部屋から出て行ってしまったし、
彼女は幼子を努めて育てている
まだ会う事も無いだろう
声の代わりの
ひらひらした紙でも
俺は十分だ
胸のつかえが少しは取れたかもしれない
ほんとにあの子が笑顔で幸せならば
俺は会う必要もなく
バーボンを一日6杯飲んで寝るだけだ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/5b/df3c390343ed28677cb8d43ff7d83812.jpg)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます