彼女には知る由もない
19年も前は、暇を持て余していて
スパイク・リーの最初のビッグヒットになった映画を
公開初日、並んでまで見に行った、今では考えられないが。
刈り込んだ頭で日焼けして、
真っ白いスニーカー姿だった俺は、随分となびいていたのだろう
その19年前に行った映画館は
1度か2度は改装されたのだろうか
つまりは昨日あの娘と一緒に過ごした映画館だった。
俺はその事は言わなかった、ので
彼女は知る由もないだろう
記憶は曖昧で、映画館を前にして急に
思い出したことだったが
それでも俺は彼女に、19年前の事を、
話す気にならなかった
徒労に終わった恋の話はする気がない、
それは陳腐な気がしたので。
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