俺は焦って車道を走っているが、
噴水の前に着く時にはあの娘に気取られないように
と思っている。
ぬけた上海人の尻拭いに
タイ人と話をさせられる、韓国の代理店に頼まれて。
そんな手間で、貴重な時間が15分、たったそれだけで
俺は走らないといけない、
しかし慌てている自分を気取られないよう、
待ち合わせの寸前には、優雅に歩く気でいる。
些細な香水が、俺の汗を紛らせてくれるだろうか、
実際地下鉄は待たずにホームに現われ、
映画の時間を10分早く勘違いした俺は
少しだけ余裕を取り戻す
小賢しく襟を立てて、腹など出ていないか擦ってみる。
落ち着いて電話を掛けて、
”今行くわ”と言う彼女の言葉に
噴水の向こうを振り返ると、
後ろの街灯が幾つも重なって強く
こちらに向かう彼女を背から照らす、
眩しすぎたのか
俺にはそれがアンジェロに見えた、
気がした。
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