NHKで火曜放送中のドラマ10「しあわせは食べて寝て待て」で薬膳の話が出てきました。薬膳とは一般的には食事療法を兼ね備えた料理方法のことをいうようです。医食同源という言葉もよく聞きます。
ドラマは30代独身女性の主人公(桜井ユキ)が膠原病にかかったことから生活が一変し、会社を辞め、新しい住まい探しをするうち隣に住む大家さん(加賀まりこ)と、そこに同居する訳ありの料理番(宮沢氷魚)を通じて、旬の食材を取り入れた食事で体調を整える【薬膳】と出会うというもの。
このドラマでは特別な料理が出てくるわけではなく、旬の食材を取り入れた食事にスポットを当てた内容となってます。ちょっと極端な話があるような気がしますが、そこも織り込み済みの脚本ですね。登場人物のセリフからもそれが感じられますし、あくまでもドラマの一つのネタということでしょう。
それはそれとして、私も50代になった頃から食生活を気にするようになりました。特に気になるのは緑黄色野菜とか生鮮食品の必要性で、これは吉村昭の小説によるところが大きいです。というのも、あの人の「漂流」とか「桜田門外の変」とか「間宮林蔵」を読むと、江戸時代には離島に行ったり蝦夷での暮らしで壊血病にかかる話が多かったので。
壊血病とはビタミンCの欠乏による病気で、学研キッズネットによると「毛細血管が弱くなるために,皮下・粘膜下・骨膜下など全身に出血がおこりやすくなり,貧血をおこす。また,歯肉が出血してはれたり,関節が痛いたんだり,全身に無力感が生じたりする。」のだそうです。
前述の小説では、漂流した島で主食が鳥の干し肉だったり、蝦夷地でも保存食ばかりで過ごしていると壊血病になって足がむくんで動けなくなったり、「漂流」では動けなくなってそのまま寝たきりでいるとバタバタ人が死にました。
要するに生鮮食品を食べないからそうなるのですが、不思議なのは蝦夷地では現地の人やアイヌの人は壊血病にならないということ。江戸から行った人が暮らせなくなるということでした。
それはそれとして、壊血病を避けるにはやはり緑黄色野菜が必要なのであって、そのポイントは色の濃い野菜は抗酸化作用が強いという事です。ビタミンCも抗酸化ビタミンですし。
色の濃い野菜というと、一般的にはほうれん草、小松菜、ブロッコリー、ピーマン、パプリカ、春菊、モロヘイヤ、カボチャ、ズッキーニ、トマト、絹さや、いんげん、ニラ、パセリ、カイワレ、にんじんなどなど。
こういう物を摂取しておけば壊血病にはならないし、体を蝕む活性酸素にも対抗できるというもの。子供の頃には母親から「野菜も食べなさい!」と言われたものですが、もっと理論的に「色の濃い野菜は抗酸化作用があるので老化防止のために食べなさい。」と言われていれば素直にしたがったものをと思います。(意見には個人差があります。)
私の認識では、ビタミンAが欠乏すると夜盲症、ビタミンB欠乏では脚気、ビタミンC欠乏で壊血病、ビタミンD欠乏でくる病ということになります。白米だけではビタミンBが足らないので、銀シャリのおにぎりとおしんこ程度で空腹を満たしていた明治時代の軍人が脚気でバタバタ倒れたのも有名な話。それで海軍の食事をパン食に変えて脚気をなくそうとしたのがビタミン博士とも言われる高木兼寛ですが、この辺りの話は吉村昭の「白い航跡」を読むとよくわかります。
それならば、白米ではなく玄米食ならビタミンBは摂取できるので「じゃ、毎食玄米にすればおかず作らなくていいんだ!」と喜んだ主婦がいたとかいないとか。
と、そんな事を色々思い出したドラマでした。まだ2回目までですが、これは結構面白いです。私も若い頃からもっと緑黄色野菜中心の食事にしていれば、今も髪の毛が多かったかもとか妄想するのですが、それはまた別の話。ちなみに、一時はサプリに凝ってましたが今や薬膳の方が興味ありです。