Xのフォロワーさんにお勧めされた本で、半年ほど前に入手してたのですがやっと読みました。読む前は「コーヒー好きとしてその辺の歴史も知っておくか」という程度の期待感だったのですが、これはそもそも読み物として大変面白いです。講談社現代新書なのでコーヒーの起源と品種改良の歴史をまとめた教科書的な本かと思えば、そんなことはありません。
もちろんコーヒーの起源からどのように世界に広がっていったかという話が前半の軸ではありますが、フランス革命、ナポレオンの時代、世界大戦、キューバ革命など、様々な世界情勢に影響されながら各地でどのように楽しまれていたかというのが興味深かったです。おまけに、なぜ南米の中でブラジルがポルトガル語なのかというのもわかったりしました。(ま、これは普通に世界史を学んでいれば知ってて当然だったのでしょうが苦手だったし。)
18世紀のパリでカフェが流行って、そこではコーヒーを通じて人々が語り合っていたとか、それがフランス革命に繋がったとかいうのを聞くと単なる嗜好品ではなかったというのも理解しやすいです。
そして、世界の話だけなく日本でどのように珈琲が広まったかという話も知りたいと思いながら読んでたら、ちゃんと後半に「コーヒーの日本史」という章がありました。この本で指摘されているのは、一言でいうと「ガラパゴス的に発展してきた」ということに尽きます。ここもすごく興味深いです。
そして、知ってたけど語源を知らなかったとか、そもそもその言葉を知らなかったというのが、
アメリカンコーヒー
コーヒーブレイク
代用コーヒー
純喫茶
でもしか喫茶
一杯淹て(だて)
自家焙煎
スペシャルティコーヒー
などなど。この辺は本当に勉強になりました。
最後まで読んで、たしかに近年は色々な珈琲が選べるようになったし手軽に入手もできるという事情を再認識した次第。そして、歴史的には覚醒や興奮作用に期待されていた部分がほとんどだったとはいえ、とにかく自分流に楽しめばいいのだというのも感じました。
なにしろコーヒーというと、恋を忘れた哀れな男がたちまち若い娘に恋をしてしまうほど危険な飲み物ですしね。私なんぞはコーヒーを極めるにはまだまだ。ちなみに、スターバックスでお馴染みのエスプレッソ系は好みません。専門店だと珈琲館が結構好きですが、今は近所にないなあ。
ということで、こちらの書物はお勧めです。紹介して下さった方には感謝します。