今日のひとネタ

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弱気なパンクス

2005年02月01日 | 日記・雑記・ただの戯言
 年はじめに図書館から借りてた本を日曜に返却。今回借りてたのは、大槻ケンジの「グミ・チョコレート・パイン(グミ編)」、松尾貴志の「カルトの祓い方」、呉智英の「大衆食堂の人々」、橋本治「天使のウインク」、大川豊「金なら返せん」など。で、一番面白かったのが「グミ・チョコレート・パイン」。

 著者については詳しく知らないので、自伝的な小説かと思って読みましたが、あとがきを読むとどうも違うような。ただ、主人公の心象風景などは多分に高校時代の大槻氏に重ね合わせてるのでは、と思いますが。ああいう「学校では目立たない学生」が、とにかく人と違う事をやろうとバンドを始めるとかいう気持ちはよくわかります。彼らの目指したのはノイズバンドですが、そもそもが綺麗に音楽を演奏したいというのじゃなく、自己表現の一手段として激しくやりたいというと、どうしてもパンク系になるのもわかると。

 「生まれながらのパンクス」という人がいるかは知りませんが、学生時代の友人に「弱気なパンクス」がいました。寮では私の隣の部屋にいたのですが、九州の生まれで一見バンカラ風。が、実際はすごい優柔不断で気弱。定食屋に入っても、自分ではメニューを決められないくらいで、「○○くんと同じでいい」というのが口癖。まじめと言えばまじめなのですが、普段は問題ないのに緊張するとやたらとどもってしまうというのも特徴。寮で先輩に叱られたときなんぞは、必死で弁解しようとしてるのに口がまわらなくて見ていて可愛そうなほど。

 やたらと洋楽には詳しく、よくセックスピストルズも聞いてましたが一番好きなのがP.I.L.。私はあんな音楽が世の中に存在したのは知らなかったので、隣の部屋から大音響で「ドンッツクドンドン ドンドンドン ア~ラ~」と聞こえてきたときには何事が起こったかと思いました。(今でもあれが音楽とは思えませんが) そいつは、P.I.Lが来日したときはコンサートにも行ったのですが、本人曰く「周りは鋲の付いた革ジャンとか鎖をぶら下げてるような人ばかりで、普通のTシャツで行ったら恥ずかしかった」ですと。この辺「なりきれない」というところも気弱な性格が出てます。

 何かの拍子に彼のことを「暗い」とボソっと言ったらしっかり聞かれてしまい、しばらくの間「どこが暗いと?」(博多弁なので)と絡まれたりしました。ま、優柔不断で根暗という事にかけては私もタメをはるくらいなので、そういう人間に言われたのがショックだったのでしょう。

 ただし、そういう性格をなんとかしたいと一念発起したのは大したもので、彼はほどなく武道系の門を叩きました。入部したのは体育会日本拳法部。日本のマーシャルアーツと言われるかなり激しい格闘技です。しかし、そこでも不運に襲われたというか、結局しごきに耐えられなくて、信州での夏合宿から近所の自転車を盗んで脱走。しかし夏休み明けに学内で先輩に拉致されてまた練習に参加することに。

 その後寮から出て一人暮らしを始め、部活についてはあれやこれやと理由をつけて毎日さぼろうとするのですが(その理由も「髭そってたらアゴから出血したから休む」とか)、同期部員が毎日部屋まで迎えに来るので結局休めず。しかしどうしても耐えられなくて、部活をさぼるために自分の部屋に帰らず、友人の下宿を転々とする毎日。が、授業に行くと発見されてしまうため学校にも行けず、バイト先にも追っ手が迫って来て続けられず、留年&借金苦で最終的には親に連れ戻されてしまったとか。(私は先に卒業したので最後を見届けられなかったのですが)

 しかし、風の便りに聞くところでは、その後公務員試験に合格してまじめに働いているとか。ったく、パンクスが公務員なんかやってんじゃねーよ! ただ、考えようによってはああいう優柔不断で主体性のない性格の奴にはピッタリの仕事かもしれませんが。(あ、また敵を作ったかも)

 なお、他に読んだ本では呉智英のも面白かったです。笑いました。そういえば小松左京の「首都消失」も借りてたのに1ページも読まなかった。残念。