まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

榎田ユウリ「死神もたまには間違えるものです。」

2016-10-08 07:42:58 | 読書のすすめ
今日も涼しくなりそうですね。
秋だから当たり前なんだけど なんだか夏を感じる間があまりなかったような。


さて 榎田ユウリの「死神もたまには間違えるものです。」を読みました

死神もたまには間違えるものです。 (新潮文庫nex)
榎田 ユウリ
新潮社


会社員の高梨広は この春入社した新人の倉元くんに毎回のように
「高橋さん 高橋さん」と呼ばれていた。

平凡でこれといって特別な事もない人間である自分は 名前を間違えられやすいのだろうと
半ば諦めている。

そんなある日 高梨が乗っていたバスが急停止する。

多少の怪我はしたものの なんとか皆無事でほっとしたのもつかの間
バスに乗り合わせた現実離れした黒ずくめの美青年に
「あなたは、もう、死んでいます。」
と宣言される。

それどころか バスに同乗していた人間は 一人をのぞいて全員死んでいると言う。

自分たちが死んでいるなんて とても信じることが出来ない高梨だったが・・・



バスに同乗していた女子高生 六十代の男性 若い僧侶。
最初に死を告げられたのは 高梨だったが 全員が集められ 改めて死が告げられる。
全員が死を全く受けとめられない状態で 唯一生き残った美容外科医が
全員の死亡を医学的に肯定する。

高梨は医師に「やっぱり死んでいる」と断定されたショックで
『そんなゾンビじゃあるまいし・・・』と思ったのがきっかけで
自分の名前を「ゾン」と思われてしまう。
「ゾン」なんて普通の日本人の名前ではないが
「生存の存です」と説明されれば
すでに普通でない状態に置かれている人々は さほど疑問にも思わない。

すぐに動けなくなるわけではないけれど 生きているわけでもない状態で過ごすことになる4人。
もう数日かで完全にこの世からいなくなると言われたら あなたはどうしますか?

4人はそれぞれ残された日々をどう過ごすと思いますか。
4人のこれまでの人生と本当にしたかったことが浮き彫りになる。

この作品は「ここで死神から残念なお知らせです。」の続編。

ここで死神から残念なお知らせです。 (新潮文庫nex)
THORES 柴本
新潮社


とは言っても 死神が同一である以外の共通点はない。
死の直前に現れる(この場合正確には直後)死神と言えば
伊坂幸太郎の「死神の精度」「死神の浮力」に登場する”千葉”を思いだす。

だが この死神は 千葉と異なり うんざりするほど口が達者。
達者と言うより 失礼。
その上 死者に対して嫌味で非情。

主人公の高梨が この世からいなくなるのを目前に選んだことは・・・・

前作を読んだ時 かなり心を揺さぶられた思いがあったので
本作も読もうと思った。

ところが 前作のamazonさんでの評価は 真っ二つに割れ
本作は 「全員死ぬ意味が分からない」という批判も受けていた。

確かに救いがないとも思えるが 作者榎田さんの死に対する思いを感じた。
全員死ぬのは身も蓋もないと言われても 最初にきちんと宣言しているし
死神には腹も立つけれど 高梨についてはバッドエンドではないと感じた。

存在感が薄くて地味。
いつも名前を間違われるすぎて人生も諦めている高梨が 
ある人物にきちんと名前を呼ばれることで救われる。

そこがすごく榎田さんらしく 私は一緒にすくわれた気がした。

言霊。
というが 名前は一つの言霊だと思う。
名前を呼ばれる度に 自己の存在を肯定されると言っても過言ではない。

以前やたら私の名前を間違える同僚(若者)がいて 
なんで間違うんだろうと思いつつ 大人げないかなあと思い
訂正もできずにいたら 別の同僚がビシッと

「だんごさん じゃなくて まんじゅうさんですよ!」

と訂正してくれた。
だって 間違った名前を連呼されたんだもん。
正直 すごくすっきりした。

その後 また別の名前で呼ばれたりしてたけど
もしかして わざとだったのか?と思うと 今さらながらゾッとする。

ちょっと話はそれてしまったが 高梨の最期見届けてやってください。

いがぐりおは 明日死ぬと分かったら何を食べたい?
いがぐりおをクリックしていただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。^^/
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2 コメント

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Unknown (maki)
2016-10-10 14:57:45
まんじゅうさん、こんにちは。
今日はすっかり冷え込んで秋だなあと感じます。今日で3連休終了、少し寂しいです。
ジムの帰りに、駅前の本屋さんで、『死神ちゃん』を頼んできました。
すごく楽しみです。
さ、又新しい一週間が始まりますね、頑張っていきま~す。
返信する
makiさんへ (まんじゅう)
2016-10-12 07:25:46
おはようございます。
本当に毎日冷え込んでいく一方ですね。
なんだか今年は夏をあまり感じている間がなかったです。

「死神」お気に召すといいのですが・・・
また感想などお聞かせください!
私も今日も頑張るぞぉ!
返信する

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