まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

「図南の翼」小野不由美

2013-12-02 19:10:33 | 読書のすすめ
今日は暖かだったのかな?
明日からの 特別整理期間最終に備えて 今日は惰眠を貪りました。(いつも?^^;)

さて 小野不由美の「図南の翼」を読みました。

図南の翼 十二国記 (講談社文庫)
小野 不由美
講談社


十二国記シリーズ第7巻(出版順)です。

最近十二国記の感想ばかり書いているのでどうかなあと思ったけれど
この7巻は書かなくちゃと思い書いています。

十二国記は 古代中国のような異世界を舞台にした歴史物ファンタジー。
十二国の王は 神獣である麒麟が天啓により選ぶ。

これまでは おもに麒麟に焦点をあてたものが多く 
王は胎果(本来十二国記の世界で生まれるはずが別世界で生まれ育つ王)が多かった。
胎果の場合 麒麟が迎えにいかないとこの世界に戻ってこられない。
つまり麒麟が迎えに来た時点で もう王となることが決まっている。

この第七巻は 王となる朱晶が 登極(麒麟が住む蓬山に登り王として認められること)するまでを描いている。
つまり 初めて 十二国記の世界生まれの王がどうやって登極するかが分かる。

朱晶が生まれ育った国 恭は 朱晶が生まれたときには もう王がおらず
国は荒れ果て 人々は妖魔に食われることにおびえて暮らす毎日。
しかし めぼしい(王たるにふさわしいと思われる)人物はすでに登極を済ませており
結局 その中から王は選ばれていない。

朱晶は豪商の娘で 贅沢に育てられていたが 勉強をすればするほど疑問がわく。
どうして 恭の人間の中に王がいるなら 全員が順番に登極して王に選ばれるかどうか試そうとしないのか?
自分の家に鉄格子をつけて 妖魔から身をひそめるくらいなら どうして一度は登極しようとしないのか?
もう王をあきらめているなら どうして妖魔に対抗する方法を考えないのか。
その疑問を父をはじめとすする多くの大人に問いかけるが 
「自分なぞ王の器でない。」
「黄海(妖魔の巣ともいうべき場所だが登極の通り道)なぞ恐ろしくて行けない。」
「妖魔になぞ対抗することなどできない。」
という意味のない答えしか得られない。

朱晶は最初 学問を学び官吏になり 人々を救う方法を考えようとするが
学問所の学長が妖魔の犠牲になり 学問所が閉鎖。
ついに 自身で登極しようと決断する。
朱晶は家出同然で 蓬山に一人で向うが・・・


順番に十二国記を読んできた読者は 朱晶が王になることを知っている。
なぜなら 前作で 自分の身を憐れむだけの少女に 高飛車に思いっきり意地悪する女王として登場するからである。
もっとも最終的に考えると あれが意地悪だったのか 少女を思ってのことだったのかという結末である。
彼女の言うことは 無慈悲なまでに正論である。

今回 若干十二歳の朱晶は家出後 ともかく苦労するわけである。
しかし 「こんな子供が登極?」と失笑する大人たちをしり目に
「大人が行かないから こんな小さな子供の私が王になるしかないでしょう?」
と どんどん進んでいく。

高飛車に思えた彼女の発言も ずっと
「王さえいてくれれば・・・・」
と 嘆きながら何もしない大人たちに比べると小気味よく そして豪胆である。

王とは どんな存在であるべきか。
という問いを与えられた時 彼女はまさしく王の器の一つなのである。

例えば ものがたり終盤 彼女は叫ぶ。
「あたしに言わせれば、身近な場所で人がどんどん死んでいるのに、他人事の顔していられる人のほうが世間知らずよ。
 死ぬってことも、辛いってことも、ぜんぜん本当に分かっていないんだわ。」
「黄海は怖いところだ、そんな無茶な、って----どこが無茶よ!
 あたしでさえ覚悟一つで来れたのに。」

そして 危ういところを助けてくれた天仙に ずっとお嬢様として大切に扱われてきたのにどうして荒廃が許せないのかと問われて
「そんなの、あたしばっかり大丈夫なんじゃ、寝覚めが悪いからに決まっているじゃない」
と 呆れ果てた顔で答える。

誰かが可哀想だからとかでなく そのままじゃあ自分が我慢できないから
内から何かに突き動かされるように 登極する。
彼女の清々しいまでの正論と行動力に大人でさえもひれ伏さずにはいられない。

まさに王の器。

やっぱり好きだわ。 
朱晶。

嘆いているだけの大人の一人としてちょっと反省させられちゃいます。

朱晶が ようやくやってきた麒麟一同に浴びせる言葉!
うん。私もずっとそう思ってた。

そして 十二国記ファンのみが気づく 「あの人は今」・・・
とりあえず ちょっと幸せそうで良かった。^^

面白いし きっとあなたも朱晶が好きになると思うので ぜひご一読くださいませ!

いがぐりおは 女王様にあったことある?私はオランダで見たことあるわ。^^
いがぐりおをクリックしていただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。^^/
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2 コメント

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Unknown (ブタフィーヌ)
2013-12-03 09:30:34
古代中国の歴史ファンタジー~
おもしろそうですね。
私、歴史が好きだから、読んでみようかな。
女王さまは、見たことないですね。
オランダのお話、いつか聞かせて下さいね。
楽しみにしてます(*^_^*)
返信する
ブタフィーヌさんへ (まんじゅう)
2013-12-03 21:10:24
こんばんは ^^

歴史物風?ファンタジーです。^^
面白いです。
もしよろしければ ちょっと暗めの太宰風1巻からどうぞ。

自分は図書館で借りたので講談社版をあげていますが
最近 新潮社より出ていま~す。

オランダの話はいずれまた書きますね。(*^^*)
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