まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

「虚ろな十字架」東野圭吾

2014-07-01 18:49:00 | 読書のすすめ
今日はついに午後から図書館に冷房が入りました。TT
これが暑いからでなく、7月1日だからなところが、お役所だと思う。^^;


さて 東野圭吾の「虚ろな十字架」を読みました。

虚ろな十字架
東野 圭吾
光文社


ペットの葬儀を仕事にしている中原は、
ある日、離婚した妻小夜子の死を知らされる。
中原は、事情聴取を受けることになる。

十一年前、中原は殺人事件の被害者家族になった。
一人娘の愛美が、自宅で殺害された時だった。
小学二年生の娘を家に置いて買い物に出た小夜子は、
虐待の果ての殺害を疑われ何日も警察による取り調べを受けた。
その後、犯人は捕まるが、
小夜子とは離婚することになり、何年も会っていない状況だった。

小夜子を殺害した犯人もすぐに自首するが・・・・


昔、刑事だった人の話を聞いたことがあるが、
誰かが殺害された時、まず疑われるのは
血縁者もしくは夫、あるいは妻だそうだ。
未婚者の場合は、交際相手なのかもしれない。
そして、その可能性が低いわけではないらしい。

結局、人は近しいからこそ、
憎しみや恨みを抱くこともある。
どうでもいい相手には、殺意という強い感情は持たないということだ。

だから、事件被害者の家族は、真っ先に取り調べを受けることになる。
家族を喪った悲しみに打ちひしがれている時にである。
勿論、それが可能性の高いところからつぶしながら、
犯人を突き止めるために必要な手順なのは理解する。
けれども、自分が実際にその身に立たされたなら、やはり納得できないだろう。

本書は、犯した罪と釣り合う罰はなんなのかを問いかけている。

目には目を、歯には歯を、そして死には死を。

現在の日本の裁判はそう単純ではない。
一人を故意に殺しても、死刑にはならない可能性が高い。

とはいえ、どんな判決が下ったとしても
被害者や被害者関係者の心が休まることはないだろう。

「死には死を」と決まったとしても
喪われた命はもどってこないし
傷つけられた心は、たとえ犯人をおなじ方法で傷つけても元通りにはならない。
きっと大昔からそうだったろう。

では、犯した罪につりあう罰とはなんなのだろう。
犯人の心からの反省と償い?
一生消えない十字架を背負って生きること?

でも、前述したとおり、喪われた命は戻ってこないし
同じ痛みを犯人に与えることもできない。

ぐるぐる考えが回ってスタートラインに戻ってしまう。
堂々巡りになってしまいました。

本書でもそこは結局グレイゾーンのまま。
著名な方ゆえに難しかったのでしょうけれども
作者なりの考えを書いてほしかったかな。

いがぐりおは 罪を犯しそうにないところがいいね!^^
いがぐりおをクリックしていただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。^^/
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