アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

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「ソモサ」なの「ソモザ」なの

2010-12-01 22:01:10 | ミステリー・ハードボイルド
「Zig Zag」 科学ミステリというかホラーというのか



ZigZag 上・下巻 ホセ・カルロス・ソモザ著 宮崎真紀・山田美明訳 エンターブレイン 2007年発行

そうだったのだ、「イデアの洞窟」と同じ著者だった
そういうつもりで買ったのだったか、後から気付いたのか
いずれにしても忘れていたけれど
思い出してみれば筆致が似ているところがある
訳者が違うから同じにはならないけれど
ディックがディックであるように(中には訳に問題ありそうなのもあるが)
個性は伝わってくるものだ

ところが、著者の表記が違っているのはいかなることか
「イデアの洞窟」は「ソモサ」本書は「ソモザ」
「Jose Carlos Somoza」最初の“e”の上にはアクサン・テギュ(アキュート・アクセント?)がついています。最後は“ZA”で、スペイン語読みだと「サ」で良いらしい・・
翻訳するとき何語からだったかによるのか?

「ソモサ」「ソモザ」いずれにしても今ひとつ人気は出なかったようだ
雰囲気を面白がらないと、ちょっと結末に納得いかないかもしれない
物理学的可能性という点ではタイムマシンより論理的にありそうにも思えるが
タイムマシンがない以上に、「ひも」をほどいてそんなリアルな映像が出るのか?
ここの装置を納得しないと全部が破綻してしまう
それができるか、許せるかどうかで読めるか読めないかが決まるのではないか

この中には「イデアの洞窟」でも感じられる
逃げ場のない恐怖、恐怖そのものから逃れられないこと
逃げられないことが恐怖となること
湿度を持って書きこまれている

しかし、クライマックスになっていささかその設定には無理があるのでは
停止した時間の中を移動する場合
稼働可能な領域を包むすべての分子がその移動を阻止する
それを無理に動こうとすれば
気体分子が極小の刃となって稼働である柔らかい結束を断ち切る様に働くのではないか
もっと単純に押しのけることもできず停止させられるのではないか
時間の止まった世界の中を動き回れればと言う誰もが思い描く夢は
意外と単純に潰える夢なのかもしれない

 超弦理論に繰り込まれた歴史を紐解く

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