Linの気まぐれトーク

映画と小説の観賞日記

小説『向田理髪店』

2021-11-11 19:02:00 | 読書
月に一度の読書会。
テーマ本は『向田理髪店』



著者の奥田英朗は岐阜県出身。
過疎地を描く連作集だが、何故か舞台は北海道。夕張市を思わせる架空の都市、苫沢だ。
後継者問題、高齢者問題、長男の嫁取り問題と、各章ごとに普遍的な問題提起。
誰もがアルアルと思うようなこと、そして人情的な解決。
〈ハートウォーミングでほのぼの〉
皆さんの感想も、
ほのぼのして暖かくてよかった
的なもの。
歳を取れば何でも肯定したいし、それもありだ。
でも思う。
作者は岐阜出身なら、どうして舞台を岐阜にしなかったの?
道民からは違和感に満ちた方言とのクレームを受けながら、それでも架空の町を設定した作者の心情や如何。

こういう問題を扱ってハートウォーミングに落とし前をつけると、どうしても非日常(メルヘン)になってしまう。

それを忘れて安易に現実に当て嵌めちゃいけない。
しっぺ返しを喰らうから、
そんなに甘くないよって。

でもきっと、みんなわかってるのよね。

十分田舎に住んでいるから、
田舎の人間関係は一筋縄ではいかないって。



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