孫真人が千金方に、房中補益説あり。
年四十に至らば、房中の術を行ふべしとて、その説、頗(すこぶる)詳(つまびらか)なり。
その大意は、四十以後、血気やうやく衰ふる故、精気をもらさずして、只しばしば交接すべし。
如此(かくのごとく)すれば、元気へらず、血気めぐりて、補益となるといへる意(こころ)なり。
ひそかに、孫思ばくがいへる意をおもんみるに、四十以上の人、血気いまだ大に衰へずして、槁木死灰の如くならず、情慾、忍びがたし。
然るに、精気をしばしばもらせば、大に元気をついやす故、老年の人に宜しからず。
ここを以、四十以上の人は、交接のみしばしばにして、精気をば泄すべからず。
四十以後は、腎気やうやく衰る故、泄さざれども、壮年のごとく、精気動かずして滞らず。
此法行ひやすし。
この法を行へば、泄さずして情慾はとげやすし。
然れば、是気をめぐらし、精気をたもつ良法なるべし。
四十歳以上、猶血気甚衰へざれば、情慾をたつ事は、忍びがたかるべし。
忍べば却て害あり。
もし年老てしばしばもらせば、大に害あり。
故に時にしたがって、此法を行なひて、情慾をやめ、精気をたむつべし、とや。
是によって精気をついやさずんば、しばしば交接すとも、精も気も少ももれずして、当時の情欲はやみぬべし。
是古人の教、情欲のたちがたきをおさへずして、精気を保つ良法なるべし。
人身は脾胃の養を本とすれども、腎気堅固にしてさかんなれば、丹田の火蒸上げて、脾土の気も亦温和にして、盛になる故、古人の曰、「脾を補ふは、腎を補なふにしかず」。
若年より精気ををしみ、四十以後、弥(いよいよ)精気をたもちてもらさず、是命の根源を養なふ道也。
此法、孫思ばく後世に教へし秘訣にて、明らかに千金方にあらはせ共、後人、其術の保養に益ありて、害なき事をしらず。
丹溪が如き大医すら、偏見にして孫真人が教を立し本意を失ひて信ぜず。
此良術をそしりて曰(く)、聖賢の心、神仙の骨(こつ)なくんば、未易為。
もし房中を以(て)補とせば、人を殺す事多からんと、各致余論にいへり。
聖賢・神仙は世に難有ければ、丹溪が説の如くば、此法は行ひがたし。
丹溪が説うたがふべき事猶多し。
才学高博にして、識見、偏僻なりと云うべし。
益軒さんは、(というか、中国の陰陽五行説では)
・脾胃は「後天の精」(食事などで補うことができる)
・腎は「先天の精」(生まれた時に両親から頂いたもの)
と仰っています
だから、腎の気は
・年齢と共にどんどん減っていく
・だから、若い時から精を漏らすことは慎んで
・40歳を過ぎたら、しばしば性交することは良いが、
・精を漏らさないことが元気の秘訣だ(いつまでも若くいられる)
「腎の働き」
について調べていたら、とてもわかりやすいサイトがあったのでご紹介させていただきます。
漢方の物差し③ 「五行の物差し」カラダを大きく5つに分類|Kampoful Life - 美と健康の漢方情報サイト | クラシエ
上記サイトでは「腎の柱」として、
・生命力を貯蔵する役割
・生殖や成長発育、老化をコントロールする役割
・水分代謝を調節する役割
・腎臓や膀胱だけでなく、脳や骨、骨髄、耳、泌尿生殖器、肛門、毛髪、唾なども分類
「腎」の働きが弱くなるとどんな症状が出やすいか?
についても上記サイトで紹介されているので、参考になりました。
まぁ、性欲の「性」は「生命力」でもあるわけですからこれが衰えていくことはやっぱり悲しい・・・
しかし、「欲」に支配されては人生をも狂わせる危険があるので慎まないといけないなぁ
・接して漏らさず
とは、「生命力」の気を充填して、漏らさないことで腎の気を巡らせる
・アンチエイジングの極意
なのかもしれません。
性交でなくても、若い異性と接することで「生命力」の気の充填はできる気もしますねぇ。
40代男子の私としては「腎」の働き、大変参考になりました。
からだを壊さないで、いつまでも若々しくいられるように、養腎(ようじん)したいと思います。
最後まで読んで頂いて有難うございます
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