山形建築研究所-BLOG-休憩室

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スッキリ

2024年06月04日 | いまいすみのすまい
工事が進む<いまいすみのすまい>現場での詳細確認と打合せへと・・・

今日は、何度か使っている手法ですが、アルミサッシュを使った引込み窓の工夫のご紹介。
木造住宅の設計で開いたり引いたり動く窓のデザインを考える場合、意匠面だけで考えれば既製品のアルミサッシや樹脂サッシを使うより
木製建具やスチールサッシを採用した方が空間に即した様々な形やディテールを工夫する事ができ
空間デザインにとって開口部の設えが特に重要な要素の一つであるが故に、空間全体の演出という点からも優れていると言えます。
でも、その場その場で一から造る木製建具の場合には、よほど凝ったディテールと厳選された木材を使わない限り気密性に問題を抱えますし
コストアップや経年変化による劣化も気になります。
また、スチールサッシの場合には製作費が掛かる上に、ヒートブリッジによるサッシ枠(表面だけでなく内部共)での結露はよほどの対策を講じない限り避けられませんし
ディテールによってはかなりの重量ともなるため構造が木造の場合には構造体への負担も増します。
近年は木枠を使って半ば既製品化されたいわゆる木製サッシも様々なメーカーで造られ多く出回るようになってきており
なかには木の素材感を生かした空間にマッチする優れたデザインのサッシも見受けられるようになってきましたが
開口はできるだけシンプル、といった空間デザインの場合にはたとえ単体のデザインとしては優れていようともその大きな木枠(障子框といいます)はやはり不粋なものとなります。

ちょっと余談気味な話ですが、建築雑誌に掲載されるような住宅にやたらとFIX窓が多用されているのは、
簡単なディテール=ローコストで枠を消し去ったシンプルな開口部が造れるから、でもあります・・・もちろんその窓は開きませんから
そんな窓ばかりで設えられた住宅は、私の場合、写真を眺めているだけでもなんだか息苦しく感じたりも。(^^;

でも、そんな開閉可能な窓にはしたいものの、時には、ココは障子框が見えないシンプルな開口として見せなければ空間が締まらない・・・という場面が出てくるときがあります。
けれども予算は限られているし、気密性の確保や経年変化も考えないと・・・
そんな時にウチの事務所で採用する定番のディテールが、アルミサッシ(樹脂サッシでも同じ)の中でも最もローコストな引違い窓を使った引込み窓です。

引込窓と云っても既製サッシュを使いますので、網戸、ガラス戸、クレセント操作には少々工夫が必要になってきます。

現場でクレセント操作扉を試作してもらって動作を確認したり・・・

図面ではこんな感じで↓


引込み窓の納まりは、ウチの事務所オリジナルディテールというわけでもなく、昔からある工夫ですが
ここまで徹底してやっている事務所はあまり見かけない(←たぶん)・・・そのあたりが、ちょっとした自慢かも(^^)、です。
ただ、気密性・耐久性に優れながらも超ローコストな住宅用アルミサッシ引違い窓を使っているとはいえ、ディテールを実現するための大工職の手間はそれなりに・・・で
全体のコストバランスを考えると要所でしか使えないのが難点ではあります。

外壁や開口部の納まりなど、コストを掛けずにできるだけスッキリと見せよう・・・そんなことを考えながら現場はすすんでいきます。

現場は外部足場も外されてスッキリ! 写真はGRⅢ 


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