プロローグ「シベリア人!」
序言
1 「教室から戦場へ」
2 革命家たちの中へ
3 「滅びた世紀の狂信的な有象無象たち」
4 上海での日々
5 満州事変
6 東京を考えたことはあるかい?
7 諜報網がつくられる
8 気がねなきオット一家
9 モスクワ 1935年
10 花子とクラウゼン 石井花子 - Wikipedia
11 モスクワの血の海
12 リュシコフ
13 ノモンハン
14 リッベントロップ ─ モロトフ
15 シンガポールを攻撃せよ!
16 ワルシャワの虐殺者
17 バルバロッサが明確になる
18 「彼らは我らを信じてはくれなかった」
19 北進か南進か
20 限界点
21 「今まで出会った中で最も偉大な男」
謝辞
訳者解説 鈴木規夫・加藤哲郎
註
文献
人名索引
巻を措く能わずとはこういう本のことを言うのね。
実際には措くんだけど。
なぜ2なのかというと、1があり、この先4まであるのだそう。
1(第1巻 ゾルゲ・ファイル 1941–1945)の訳者は名越さんご夫妻ってことね。
もうね、キヨーミ深さでくらくらするぅ。(キョではなくてキヨ)
訳者 鈴木規夫
訳者 加藤哲郎
しかも、尾崎=ゾルゲ研究会代表と同事務局長の名誉教授・教授コンビによる訳であり、これ以上確かなものはないだろう。
平凡社新書 ゾルゲ事件 覆された神話 加藤哲郎 著 2014/03 - 真似屋南面堂はね~述而不作
訳者解説で同映画に言及あり。
本書に岸恵子が登場しないのは日本の読者には不満かもしれない、と指摘~訳者の両先生がまずご不満に思われたわけよね、読者だなんて書いてるけどさ。
ゾルゲ諜報団 - Wikipedia
男も女もトリコにしちゃう人物だったのだね。
敵も味方も。
「今まで出会った中で最も偉大な男」とは、ゾルゲの取り調べに当たった思想検事の吉河光貞 - Wikipediaが戦後インタビューで語ったセリフなんだもん!
ゾルゲとオット駐日独大使(駐在武官から大使就任、って大島駐独大使と一緒じゃん)の親密すぎる関係を怪しんだベルリンから、ワルシャワでの蛮行が問題となり、左遷ついでに送り込まれたマイジンガーなんかは、あっという間に取り込んでしまい、ゾルゲ逮捕時には独大使館から執拗な抗議がなされる。
終戦、米軍進駐後、河口湖富士ビューホテルでマイジンガーが米軍に拘束される際の動画はすごい。
アウトサイダーたちの太平洋戦争 知られざる戦時下軽井沢の外国人 高川邦子 著 2021年 - 真似屋南面堂はね~述而不作
ゾルゲには帰国命令が出たことがあるものの、本国での粛清の嵐を承知していて、警戒して言を左右にして応じない。
この時に帰国していれば、粛清の対象になっていたことは明らかだと。
秘密警察の大幹部まで亡命してくるほどでねゲンリフ・リュシコフ - Wikipedia
そうこうするうちに、上司自身が粛清の対象になってしまい、後任者らは、「こいつ、使えるじゃん」、「彼ほど日本政府高官に食い込んだ情報網を構築できたエージェントはいない。今から同水準のことができる者はいない。余人をもって代え難し」ということで、使い続ける。
ゾルゲの方が、妻にも会いたいし、再三帰国を願い出るが、認められない。
上司は、疑い深いスターリンにどこまでゾルゲの報告を上げるか悩む~独裁者の考えに異を挟むような報告を上げると、自分の命が危ないもんでね。
→粛清された5人の前任者らと違って、そこいら辺の判断を誤らなかったために生き延びた6人目のフィリップ・ゴリコフ - Wikipediaは、ゾルゲが二重スパイだと疑っていた。
ゾルゲの部下の無線技士マックス・クラウゼン - Wikipediaは、実業家カバーのため東京で開業したドイツからのオートバイ輸入業や、独自にコピー機製作所「クラウゼン商会」を経営、本国から提供される不十分な活動費を事業の儲けで補うよう指示され、不満!
さらに、ゾルゲに指示された報告電文を適当に端折って暗号化して送信するなどしはじめる。
→ゾルゲはちゃんとモスクワに報告したつもりなのに、なぜか伝わっていないことがあり、ってそりゃあ・・・。
駐日大使館勤務の若手外交官(無線担当官)ヴィッカート(ヴィッケルト)は、(オット大使の親友ということになっていた)ゾルゲを自宅でのお茶に招くと、若い妻と無茶苦茶にいちゃつくなど(p340)。
また、帝国ホテルのバーで酔ったゾルゲがヒトラー批判の暴言を叫んで周囲をひやひやさせており、これでは一人で帰宅できまいというほどの泥酔ぶりを案じたヴィッカート(ヴィッケルト)が部屋をとって放り込んだことも(p364)。
ヴィッケルト 『戦時下のドイツ大使館 - ある駐日外交官の証言』 (1998年) 最上級の興味深さ! - 真似屋南面堂はね~述而不作
Owen Matthews, Author at The Spectator
自著を紹介する著者のOwen Matthews
An Impeccable Spy: Richard Sorge, Stalin's Master Agent | Owen Matthews | Talks at Google
A webinar from the Royal Society for Asian Affairs with Owen Matthews
An Impreccable Spy: Richard Sorge, Stalin's Master Agent
在京外国メディア特派員~ゾルゲのカバーがそう(Frankfurter Zeitung記者)だったので、大先輩を扱った本の書評というわけねw
An Impeccable Spy Richard Sorge, Stalin’s Master Agent | FCCJ
「日本そしてドイツに関する情報を得たゾルゲは、自宅から無線機でソ連に情報を送っていました」って、相変わらずいい加減なことを書き散らかし、言い散らかすな。
これだと、「ゾルゲが自分の自宅から自分自身で無線機を操作して送信していた」と読めてしまう。
~指摘された場合には、「そうとは言っていない」と主張するのだろう。
「スパイ団の無線担当者のクラウゼンが、自宅やヴーケリッチの家など(いつも同じところからは探知リスクがあり危険なので)から、無線機でソ連に情報を送信していた」のだけれどね。
クは上司のゾに指示された内容全部は送っていなかったのだがw