真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

なぜ必敗の戦争を始めたのか 陸軍エリート将校反省会議 半藤一利 編・解説 2019/02

2024-02-05 | 読書-歴史

文春新書『なぜ必敗の戦争を始めたのか 陸軍エリート将校反省会議』半藤一利 | 新書

陸軍将校による幻の座談会が蘇る 和平か開戦か――太平洋戦争開戦直前に陸軍は何を考えていたのか。中堅将校たちが明かした本音とは。巨大組織の内幕が見えてくる。

文藝春秋BOOKS

 


座談会初出は『偕行』昭和52年3月号~53年3月号
陸軍も反省会的な企画は一応やってたのね。

第1章 三国同盟―積極的ではなかった陸軍
第2章 北部仏印進駐―海軍とのかけひき
第3章 南部仏印進駐―アメリカの反応を見誤る
第4章 独ソ開戦―「北進」か「南進」か
第5章 御前会議―まだ開戦に慎重だった陸軍
第6章 東条内閣の成立―開戦への決意
第7章 対米開戦―いかにして戦争を終わらせようとしたのか

いやもう、まさに
○環境の激変に対応できない
○戦略の見誤り&行き詰まり
○内部の“急進派”に攪乱される
○他部署(海軍など)とのコミュニケーション欠如&利権争い
○相手(アメリカ、中国)の反応を読み違える

○次第に選択肢がなくなり、追い詰められる

権力闘争大好き人が集まっていたのが参謀本部?
日本の組織はどうしてもそうなってしまうの?

■大島浩の戦後の談話:「今でも私は、ヒトラーは天才だと思っています。・・やはりヒトラーはアレキサンダーやナポレオンに次ぐ天才だと、今でも固く信じているんです。」p45
~このくだりの録音あるよね。いろんな人たちにこのような趣旨で繰り返し語っていたのね。
「そんなヒトラーに信頼されていろいろ相談も受けていた自分は、あの頃が人生の頂点の栄光の日々(うっとり)・・」ということなのでしょう。
ヒトラーに傾倒した男 A級戦犯・大島浩の告白 増田剛 2022.7 - 真似屋南面堂はね~述而不作
「ヒトラーに傾倒した男〜A級戦犯・大島浩の告白〜」NHK - 真似屋南面堂はね~述而不作

■日本の暗号が解読されていたが、平文にした日本語原文を英訳する際の誤訳が多く、それによる誤解も多々あった件 p148
~これは現代日本人にも慣れないと解読が難しいような気取った文語文などで電報を打っていたのがいかんよね。
大島浩のように、わかりやすい軍人的文章(連合国軍内でも好評を博したことが知られている!)で送ればよかったのだろうけどね。
コード・ガールズ 日独の暗号を解き明かした女性たち CODE GIRLS - 真似屋南面堂はね~述而不作

■軍政の中心・軍事課長の岩畔豪雄 - Wikipediaが米国から帰国して、日米の鉄鋼生産力の違いの大きさを指摘し、米と戦争などできっこないと繰り返し発言したら、終戦まで南方に飛ばされた件 p190
~こんな本もあるんかい。
昭和陸軍謀略秘史 | 昭和館デジタルアーカイブ

■東条英機に報告に行った杉田一次 - Wikipediaが、1回目には「米に戦艦が23隻ある」と言い、2回目に22隻と言ったところ、メモ魔の東条が「前回は23隻と言ったのに変えるのか」と叱った件 p198
~上は国力に関する感覚が欠けていた例として紹介している。もちろん、そういう細かいことにばかり気が回り、大局が全然見えていなかった人物がトップに立っていたトホホぶりも併せて示唆したのだろう。

本書は、半藤さんの亡くなる2年前だね。
追悼 「歴史探偵」半藤一利 「あの戦争」の真実を語り継いできた文春新書の11冊 | 特集

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ルーズベルト一族と日本 谷光... | トップ | 悲しき帝国陸軍 高原 友生 2... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読書-歴史」カテゴリの最新記事