昨日バラの土を入れ替えている時に、二月に入ったばかりというのに、三月ぐらいが旬の
沈丁花の蕾が膨らんで、ひとつだけ開いているのを見つけた。
発つ君に思いは告げじ沈丁(花)の 香りの中に一日(ひとひ)沈めり
私は中学2年生の時の担任が国語の先生で、ある時、1日に
10首の短歌を作るという課題を出されたことがあった。
その時に作った短歌で、人様に披露できるのは2首ほど。
市役所の十時を告げるオルゴール 大きく小さく秋の夜ふけぬ
ぐるぐると母のまわりを回りつつ かばんも置かず喋る妹
当時小学校4年生だった妹は、座って縫い物などをしている母のまわりを
毎日学校から帰ってくると、ぐるぐる回りながらその日の出来事などをおしゃべりする
屈託ない可愛い子供で、その様子を詠ったものだ。
クラスメートで今も近くに住んでいて、私のカフェコンサートにも来てくれる同級生は
小学校の先生をしていた現役の頃、生徒たちに授業で短歌を勉強させる時に
私の短歌を例題にして授業したという話を話してくれた。
他人の短歌をきちんと記憶しているのには驚いた。
自分は「たらちねの母が・・・・・・」私は覚えてないが、しょうもない作品だったと
笑いながら自虐的に話してくれたことがあった。
この中学の時の短歌の宿題がきっかけで、その後高校時代も我流で作ったりしていたが
大学4回生になり、時間的に余裕ができた頃、市の短歌教室に入りたいと思って参加した。
たまたまどこかの短大生という女の子も同時に入り、その当時
今の私ぐらいの年齢の方ばかりで、若い人が二人も入ったと大歓迎された。
教室では、月曜の勉強会の日までに3首ほど作品を葉書で送ると、当日名前は明記せず
送った短歌を順に手書きで書かれて印刷した藁半紙が配られる。
当日、この作品からみんなで好きな歌や優秀と思われる歌を選んで集計し
高点、次点などの順位がつき、みんなで感想や気になることなどを評価し合うというのが
勉強会の流れだった。
私が初めて作って出した歌
雨に濡れ息づいて見ゆ なでしこを 摘みつつ思う病の友を
この時、私の初短歌が思いがけず次点になった。
先生は、「息づいて見ゆ」は口語(現代語)になるから
「息づき見ゆる」と直して下さったが
歌のテーマが良いというような批評を頂いたように思う。
その後の教室で高得点だった歌。
山の気に一人ひたりて孤独なる 旅の一日瀬の音に終わる
・「音」をテーマに作らされたもの。
「ひとりひたりて孤独なる」はちょっと孤独感を言いすぎるとの批評はあった。
あの頃はすでに古りにし思い出と 今宵か細き虫の声聞く
・「声」がテーマだったかな。
傍らに現実はありショパン ベートーヴェン たが為と言うにあらず弾きおり
・かなりな字余りだが。
その後2年ぐらい続けて結婚と同時に教室は辞めて、短歌を作るのも
次第に出来なくなって今に至っている。