2006年コンサートの林光さん編曲の「日本抒情歌曲集」のステージで
私がピアノ担当の6曲の作品を歌った。
この道、待ちぼうけ、かやの木山の、早春賦、曼珠沙華、ゴンドラの唄だった。
「待ちぼうけ」については、以前にブログでも書いた。
前奏初っぱなから、指がもつれて転がり落ちるように
5回ほどある同じフレーズを立ち直れず弾いた失敗の思い出の曲。
これはDVDでは入っているが、録音CDには省かれている。
本当はこの林光さんのアレンジは面白いので載せたい所だけれど、、、。
まずは北原白秋詩/山田耕筰曲/林光編曲「この道」
林さんのアレンジは、まずコーラスの響きを大事にしてア・カペラで始まり
ピアノが追いかけて入り、途中で転調し戻ってくると言うおしゃれなもの。
次はみんながよく知る「早春賦」
これもコーラスのア・カペラから始まる。
このアレンジは、モーツァルトのピアノ協奏曲風に作られていて
コーラスとの間にモーツァルトの「春への憧れ」のピアノフレーズが挿入されている
遊び心に富んだ林さんらしいアレンジ。
この「早春賦」はピアノが主役で、コーラスはオーケストラという設定。
最後に「カデンツァ」まで入っている。
「カデンツァ」はこういう協奏曲に入る即興演奏だけれど
私が作った即興ではなく林光さんの書かれた譜面で弾いている。
コーラスとの掛け合いがとても難しいかなり緊張を強いられる曲。
「曼珠沙華」
歌詞の冒頭に「ごんしゃん、ごんしゃん」とあるが
白秋の故郷福岡柳川の方言で、両家のお嬢さんのこと。
亡くなった子供のお墓に生えている彼岸花の情景に漂うものは
全体の曲調と、後奏最後のアルペジオの響きに醸し出されている。
最後に「ゴンドラの唄」
中山晋平の古い唄だけれど、年配の方には懐かしい曲のようで
ピアノの同門の後輩が、この曲をご実家のお母さんがよく口ずさんでいて
私たちのコーラスを聴いて、お母さんのお好きだった唄がこの曲だと
わかったと話してくれたことを思い出す。昨年秋に彼女は亡くなってしまった。